この物語には前編がございます。
(*^ー^)ノ
http://s.ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11875828261.html
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夜が白々と明けて来たころ、
近くの枝が揺れました。
「母さん!来てくれたの?!」
ハトの若者は驚きました。
それは何年も前に別れた母鳥でした。
彼女はやわらかな羽を広げ、
息子の隣へ飛んできました。
「僕のこと・・・・聞いたんだね」
ハトが小さく言うと、母は優しくうなづきました。
「正直・・・」息子は言いました。
「僕は恐ろしいんだ。そんな務めが果たせるのか、
途中でうっかり死ぬんじゃないか、
そして・・・失敗して恥をかくんじゃないかって・・・」
母鳥は黙ってうなづきました。
息子はそれきり黙りました。
母も何も言いません。
二人は静かに寄り添いました。
森はいつもと変わらぬ朝でした。
:::
明るくなると、二羽は食事を済ませ、
また同じ枝にとまっていました。
息子は何も言いません。
でも、心の中は嵐でした。
「ああ・・・僕がもっと大きくて、
そして立派で、体力もあったらなぁ・・・。
悩んだりせず、すぐに出発できるのに・・・」
いろんな思いが、次から次へと通り過ぎます。
「せめて、休憩できる島があるってわかってたらなぁ・・・。
いっそ、僕が波の上に浮かぶ水鳥ならなぁ・・・」
言葉に出さず、思いはグルグル巡りました。
母鳥はじっとそばにおりました。
優しげな瞳で時々息子を見つめます。
::::
森は昼になり、夕になり、再び夜がやってきました。
親子は変わらずそこにいました。
二人は静かに寄り添いました。
森はいつもと変わらぬ朝でした。
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明るくなると、二羽は食事を済ませ、
また同じ枝にとまっていました。
息子は何も言いません。
でも、心の中は嵐でした。
「ああ・・・僕がもっと大きくて、
そして立派で、体力もあったらなぁ・・・。
悩んだりせず、すぐに出発できるのに・・・」
いろんな思いが、次から次へと通り過ぎます。
「せめて、休憩できる島があるってわかってたらなぁ・・・。
いっそ、僕が波の上に浮かぶ水鳥ならなぁ・・・」
言葉に出さず、思いはグルグル巡りました。
母鳥はじっとそばにおりました。
優しげな瞳で時々息子を見つめます。
::::
森は昼になり、夕になり、再び夜がやってきました。
親子は変わらずそこにいました。
=そこは目覚めと夢との中間でした=
***
***
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****それは遥かな旅でした****
****彼方に島が見えて来ました****
****突き上げる歓びがありました****
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ハトはハッとして目覚めました。
隣を見ると、母鳥が静かにこちらを見ます。
「母さん、僕に何かしてくれた?」
息子は小さく訊きました。
「私は何にも・・・」
母はそっと言いました。
「ウソだ!何かした!教えてくれよ!」
すると母は、少し黙って答えました。
「そのとても遠くの島を目指して、行くも行かないも、それはお前が選ぶこと。
私はただ・・・」
母鳥はかすかに目を伏せ、言いました。
「お前自身が本当の望みに向って行くのを、そばで祈っていただけなんだよ・・・」
=東の空がわずかに明るくなりました=
「老いた私にできるのは、そんなことくらいなのさ・・・」
母は優しく言いました。
「母さん!」
息子は言葉が出ませんでした。
「お前、行くことにしたのかい?
そうだとしたら早くお行き、
=東の空がわずかに明るくなりました=
「老いた私にできるのは、そんなことくらいなのさ・・・」
母は優しく言いました。
「母さん!」
息子は言葉が出ませんでした。
「お前、行くことにしたのかい?
そうだとしたら早くお行き、
決心が鈍らないうちに・・・」
息子は何も言葉にできず、
涙のうちに飛び立ちました。。。
息子は何も言葉にできず、
涙のうちに飛び立ちました。。。