izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

物語【カナリアの黒い子】後編

 

 

 


「異端児」とされた悲しい運命の黒い子…。
物語の続きです。

(▰˘◡˘▰)



*前編はこちら*



◆+◆+◆+◆+◆+◆+◆








満月の光が教会の高い窓からさしこんでいます。





月明かりはマリア像に落ち、
風はなく、静かな夜のことでした。


フクロウでさえ眠っています。






カナリアは我が子を連れて、

そっと教会に入りました。



黒い子は十字架にとまって鳴き始めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

{EACAEF0A-3CA5-4643-B7CF-62FA8A6706E5:01}

 
 
 

+・*・+・*・+・*・+






その声は、まるでハスの葉のすれる音、
その声は、まるでうたた寝するインドの牛のよう。


その声は、まるで東洋の歌でした。






   +





カナリアは我が子の歌を、
じっとうれしく聴いていました。
けれども涙がこぼれます。





「あなたの祈りに、いつもと違いがあったのですか?」







どこからともなく声がしました。





カナリアが顔を上げると、
どうやら声はマリア像のようでした。

 

 

 

 

 

 

 

{F452B6CA-A711-4E27-A4C5-3E7180015E32:01}

 
 
 
 

「あの黒い子が生まれる前夜、
あなたの祈りはいつもと違っていましたか?」




マリア像は再び訊きました。





カナリアは少し考え答えます。


「いいえ、いいえ、マリア様・・・
私の祈りは同じでした!」






「それなら・・・」

マリア像は言いました。


「あの黒い子が届けるものに、

 何か違いがありますか?」





カナリアは言葉に打たれ、
再び歌を聴きました。

 

 

 

 

 







黒い子は一生懸命歌っています。
それは誰も聴いたことのない歌でした。





けれども心をとおった時には、





それは他の子となんら変わりない、歓びを届ける歌でした。
そして他の子と同じ、愛を届ける歌でした。






黒い我が子は一心不乱に歌っています。






声は教会を越え、森を越え、遠い世界に響きます・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

{7001906E-E48F-48F7-ACD9-7A50A96F3455:01}

 

 

 


    +





いつしか朝日がさし込みました。
カナリアの心にも、新しい光がさしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

{8A91ECB7-5505-465C-B425-AAA46976B14E:01}

 

 

 

 

 
 

森に、清々しい朝の風がとおりました。 






    完  






    


×・*・×・*・×・*・×・*・×・×・*・×

 

Copyright©︎Utamaro izumi 2013

 

 

 

 

 

***

 

 

初めましての方へ、

(*゚ー゚*)

泉ウタマロは作家・アーチストです。

 

Amazonには著作もございます。

 

 

 

image