izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

魔法使いと小さな龍3

 

 

 

 


この物語には1・2 がございます。
 

 

 

 

 


1 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11735799059.html
 

2 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11737096863.html





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【魔法使いと小さな龍3】






月のない闇夜の晩になった時、

魔法使いは小さな龍を抱きかかえ、
自分の家に入れました。






そして家中の窓という窓に雨戸をおろし、
隙間という隙間をふさぎ、
鏡という鏡に覆いをかけました。







龍はブルブル震え、
魔法使いは濁った黄色い目つきで龍を見ました。







そして大きな鍋のある、
暖炉の前に座りました。

薄暗い家の中で、
火の精霊がチロチロ小さく燃えています。







 
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森は寝静まり、
風の音すら聞こえません。




魔法使いは怯えている龍を膝に載せると、
かぶせてあった羊の皮をとりました。






とたんに白い光が溢れ出し、
家中すべてを満たしました。
魔法使いは目を細くして見つめています。








 
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小さな白い龍は光の塊でありました。

そしてそれは、永遠と真実がそこに結実した、
奇蹟の子どもでありました。







魔法使いのシワだらけの頬に、
わずかに赤みがさしました。
 
 

自分の膝に載っている、その小さな生きものは、
魔法でもなく、呪文でもなく、どんなまやかしでもない、




本当に天の力が生んだ、
稀有な存在だったのです。





龍は目を閉じ、
体を小さく丸く縮めて、気を失うほど怯えていました。
 
 
 

しなやかなヒゲも震えています。
 
 
 

それでも龍そのものである、この世を超越した力には、なんの遜色もありません。






内面から溢れ出る清らかな美しさ、
声のない透明な歌は、
魔法使いを魅了しました。






それはどんな魔法でも、
かなわないものだったのです。






 
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魔法使いは小さな龍が好きで、好きで、大好きでした。
 
 

そしてずっとずっと自分だけの秘密の宝物でした。
 
 
 

彼は黒く長く汚い爪で、龍のウロコを何度も何度もなでました。






そしてうれしさのあまり、
龍に微笑みかけたりします。
けれどもそれは醜い薄ら笑いにしかなりません。







暖炉にいる火の精霊は、
チロチロ燃えてチラチラ二人を覗き見ました。
 
 
 
 

こうして夜がふけました。





 
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長い長い夜が開ける直前、
魔法使いは気を失った小さな龍に、
羊の皮をかぶせました。
 
 
 

そして他の羊たちを起こさぬよう、
忍び足で龍を羊小屋に戻しました。











こうして7年もの月日が経ちました。

龍はずっと暮らしに馴染めず、
羊たちの笑いものでありました。
 
 
 


そして春が近づいた、ある日のことでありました。




 
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第4話はこちらです。
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【魔法使いと小さな龍4】