この物語には1~3がございます。
一篇:20~30秒程度でお読みいただけます。
3 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11737748719.html
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【魔法使いと小さな龍4】
*
まだ肌寒い早春でした。
羊たちの敷地にはあちこち雪も残っています。
どこか遠くで、ツピツピ・・・鳥が鳴きます。
向こうの丘から今日も朝日が昇ります。
羊の群れはいつものように、
水を飲むため池に向かっておりました。
池に着いたら、強い者順に水を飲みます。
それが羊たちのきまりでした。
これはずっと変わることのない常識だったのでありました。
羊の皮をかぶった龍はいつも一番最後です。
龍はかがんで水を飲もうと努力しました。
けれども どうにもその口は、
「ああ…。
ふと、そう考えた時でした。
予期なく池に落ちました。
◆
うっかり足がすべったか、
それとも意地悪い羊の仲間が、後ろから押したのかもしれません。
とにかく龍は沈んで行きます。
身を刺すような冷たい水が、
羊の皮はボッテリとして呪文のようにまとわりつきます。
ブクブク沈んで行きながら、
「このまま死んでしまいたい・・・」
ふりしぼるように思いました。
けれども体はもがくのです。
口と鼻から水がゴボゴボ入って来ました。
羊の皮はずしりと重く、
「このまま死んでしまいたい・・・」
体は溺れ、心は泣いておりました。
それでも手足はもがき、暴れ、抵抗しました。
けれどもどんどん沈みます。
龍にとって一番の苦しみは、
「このまま死んでしまいたい・・・!」
徐々に体は力を失い、
◆
やがて沈黙の支配の末に、
閉じ込められていた輝きが、
池に着いたら、強い者順に水を飲みます。
それが羊たちのきまりでした。
これはずっと変わることのない常識だったのでありました。
羊の皮をかぶった龍はいつも一番最後です。
龍はかがんで水を飲もうと努力しました。
けれども どうにもその口は、
池から飲むのに適しておりませんでした。
「ああ…。
どうして僕は何もかも、
皆と同じにできないのだろう・・・」
小さな龍は悲しくなってつぶやきました。
自分の不格好な姿が池に映って揺れています。
「このまま落ちたら、僕はいなくなるのだろうか・・・」
小さな龍は悲しくなってつぶやきました。
自分の不格好な姿が池に映って揺れています。
「このまま落ちたら、僕はいなくなるのだろうか・・・」
ふと、そう考えた時でした。
予期なく池に落ちました。
◆
うっかり足がすべったか、
それとも意地悪い羊の仲間が、後ろから押したのかもしれません。
とにかく龍は沈んで行きます。
身を刺すような冷たい水が、
体の自由を奪います。
羊の皮はボッテリとして呪文のようにまとわりつきます。
ブクブク沈んで行きながら、
何をやってもだめな自分が龍の心に浮かびます。
「このまま死んでしまいたい・・・」
ふりしぼるように思いました。
けれども体はもがくのです。
口と鼻から水がゴボゴボ入って来ました。
羊の皮はずしりと重く、
龍を水底へ引きずりこみます。
池はかなりの深さです。
いじめられてきた悲しみが、
池はかなりの深さです。
いじめられてきた悲しみが、
龍の心に満ちていました。
「このまま死んでしまいたい・・・」
体は溺れ、心は泣いておりました。
それでも手足はもがき、暴れ、抵抗しました。
けれどもどんどん沈みます。
龍にとって一番の苦しみは、
自分にとりえがないことでした。
「このまま死んでしまいたい・・・!」
龍はそれだけを思いました。
徐々に体は力を失い、
意識がぼんやりとなりました。
最後の小さな泡ぶくが龍の鼻から出て行きました。
苦しさと、冷たさ、みじめさのうちに、小さな龍は池の底に横たわります。
それでも龍は死ねません。
なぜなら龍は不死なのでした。
静寂と、暗闇。
最後の小さな泡ぶくが龍の鼻から出て行きました。
苦しさと、冷たさ、みじめさのうちに、小さな龍は池の底に横たわります。
それでも龍は死ねません。
なぜなら龍は不死なのでした。
静寂と、暗闇。
そして絶望という孤独の場所で、
全てが止まってしまいました。
全てが止まってしまいました。
◆
やがて沈黙の支配の末に、
龍でさえ知らない強い力が、
突然池の底をけりました。
龍はたちまち水面へと昇ります。
あっという間のことでした。
小さな龍は土手によじ登り、
突然池の底をけりました。
龍はたちまち水面へと昇ります。
あっという間のことでした。
小さな龍は土手によじ登り、
ぜいぜい息をつきました。
体もぐったりしています。
けれどもその時だったのです。
羊の皮が脱げ落ちました。
とたんに光がはじけます!
体もぐったりしています。
けれどもその時だったのです。
羊の皮が脱げ落ちました。
とたんに光がはじけます!
昇ったばかりのお日様よりも、
数倍強いものでした!!
龍は水に映った自分を見ました。
そこにいたのは見たこともない者でした。
真珠色のウロコに長いヒゲ、
小さくも堂々たる、そしてなんとも神々しく美しい姿でありました。
龍は水に映った自分を見ました。
そこにいたのは見たこともない者でした。
真珠色のウロコに長いヒゲ、
小さくも堂々たる、そしてなんとも神々しく美しい姿でありました。
閉じ込められていた輝きが、
閃光のように発しています。
龍はブルリと身震いしました。
すると・・・ガラリ、
龍はブルリと身震いしました。
すると・・・ガラリ、