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狩人はぼんやりした目で鹿を見ました。
彼には鹿の言った意味がまるでわからなかったからなのです。
たくさんの星がチラチラ揺れます。
その上雪もかすかに降ってきました。
フワフワ・・・フワフワ・・・
雪は途切れず舞い降りました。
森は時折ピシリ…ピシリ…と鳴って、
その静けさは天に届いておりました。
夜が森にとけているのでしょうか、
それとも森が夜にとけているのでしょうか、
星は優しげな歌を歌っています。
狩人の胸に不思議な気持ちがひろがりました。
彼にとってこんな森を見るのは初めてでした。
「ここはどこだい?」
狩人は訊きました。
「ここは今まであなたが住んでいた世界。
そしてあなたには、見えていなかった世界です」
白銀の鹿は声なき言葉で答えます。
「これはなんだい?」
狩人は自分の気持ちについて訊きました。
「これは…私たちの愛なのですよ」
鹿は静かに伝えて来ました。
なんとも心地よいものでした。
それなのに、その場所はいつもと変わらぬ森なのでした。
彼は真の世界に気づいたのです。
それは見たこともないものでした。
寒さも、傷の痛みさえ消えていました。
狩人はあらためて鹿を見ました。
白銀の鹿は、まるでほっそりした月のようです。
そして灰色の瞳で、彼をじっと見つめました。
その神々しさと美しさに、彼は朦朧となりました。
真夜中近く、狩人は村に戻ってきました。
そして馴染みの酒場に立ち寄りました。
たいくつしのぎの男たちが、
いつものように飲んで騒いでおりました。
狩人が入って行くと、
狩人が入って行くと、
驚いたように仲間の一人が訊きました。
「お前、どうしたんだその格好は。
「お前、どうしたんだその格好は。
ブーツも履かねぇで、銃はどうした?」
狩人はぼーっと彼らを見ました。
昨日まで自分自身も確かにそこにいたのです。
けれども今は違和感でした。
猥雑で粗暴なしゃべり、
ドギツイ色のポスター。
狩人はぼーっと彼らを見ました。
昨日まで自分自身も確かにそこにいたのです。
けれども今は違和感でした。
猥雑で粗暴なしゃべり、
ドギツイ色のポスター。
長年飲んできた酒の匂いでさえも、
自分のベッドの中であの鹿のことを考えました。
華奢な白く光る足、
優しい胸もと、智恵そのもののような表情・・・。
彼は白銀の鹿をありありと思い浮かべ、
森の静けさを思い出し、
星雪舞い散る夜空を思い浮かべて眠ろうとしたのです。
けれど彼は大変なことに気がつきました。
来週、村の男たちは大がかりな猟を行うはずだったのです。
彼の胸は激しくざわめきました。
一晩中悩んだ末に、
狩人は翌朝、金属でできた罠を持って再び森へ行きました。
それは動物の足をギザギザの歯で捕らえるものでした。
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星雪舞い散る夜空を思い浮かべて眠ろうとしたのです。
けれど彼は大変なことに気がつきました。
来週、村の男たちは大がかりな猟を行うはずだったのです。
彼の胸は激しくざわめきました。
一晩中悩んだ末に、
狩人は翌朝、金属でできた罠を持って再び森へ行きました。
それは動物の足をギザギザの歯で捕らえるものでした。
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