izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

ハトの使者(前編)


その日、南の森の奥深く、鳥たちが集まっておりました。
重要な会議があったからです。



「私が思うに・・・」
ハシビロコウが深刻な口ぶりで言いました。




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「事態は予想以上に危機的じゃ。この森が明日もこうして存在するのか、
誰にも保証はできはしまい・・・」

するとペリカンが言いました。
「救われる道はないのでしょうか?」


「そうじゃな・・・」
ハシビロコウはほとんど動かず答えます。


「勇気ある者が、あの遠くの森に助けを乞い、
彼らの知恵を持ち帰ったなら、
我々はここを守れるであろう・・・」


ハシビロコウは預言者でした。
目閉じたまま、答えました。



「あの遠い森ですって?」
九官鳥が驚いて訊きました。

「この大きな海の、ずっとずっとかなたじゃないの。
そこまで飛んで行ける者はいないわ」


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「一人だけおる」
ハシビロコウは薄目を開いて言いました。
「わしは見た。彼が飛ぶのを・・・」


「彼って、誰ですか?」
皆が身を乗り出して訊きました。


「ハトじゃよ」


「ハト?」

鳥たちは互いの顔を見合わせました。

すると黄色いカナリアが言いました。
「この森に、若いハトなど、
一羽しかおりませんが・・・」


「その者でよい」
ハシビロコウは断定的に言いました。
「わしはその者の姿を見た」


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:::


さあ大変です。
若者のハトはみんなの前に、押し出されてしまいました。


「すみません・・・。
僕・・・そんな勇気とてもないです」


「あるのじゃ。
わしはそなたが飛んで行くのを ”すでに見た” のじゃから」

ハシビロコウは断言しました。


「そんな・・・」
ハトの若者は動揺します。


ハシビロコウは目を開き、グッと睨んで言いました。

「我々の森を救えるのは、そなただけじゃ。
遠くまで飛べる鳥は他にもおる。
だが・・・自分自身で軌道を選べるのはそなただけじゃ!」


「では、航路を教えてください!
どこの島が休憩可能かも、教えてください!」
ハトは懇願するように言いました。


けれどもハシビロコウは目を閉じてしまい、ブツブツ言います。
「わしが見たのは、そなたが海の上をすべって飛んで行くことだけじゃ。
どこをどうやって飛んで行くのか、わしにはわからん・・・」


長い沈黙がありました。



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:::


「でも・・・」
ハトは念を押すように訊きました。

「僕が戻って来たのが見えるんですね?」

するとハシビロコウは突然、目を ”カッ” と開き言いました。
「いいや、それは見とらん!」

「なんですって!?」
ハトは叫び、まわりの皆もざわめきました。


「わしが見たのは、ハトが真っ直ぐ飛んでいるだけ・・・」
ハシビロコウは言いました。


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=鳥の会議は散会しました=


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「どうしよう・・・」
暮れ行く森の木の陰で、ハトの若者は震えていました。
「僕は夢を見てるんだ・・・悪い夢・・・きっとそうだ」

すると・・・。

「ハロ~!」
おしゃべりなコウモリがやって来ました。


「僕が目標達成の極意を教えてあげるよ~♪
大きな課題も楽々、達成さ~♪」
コウモリは、ケラケラ口調で言いました。


ハトはムッとして答えました。
「ごめん・・・今、ほっといて欲しいんだ・・・」


:::

夕暮れは濃い闇に落ち、
森は夜の鳥が鳴いています。
風の中に真夜中に咲く、甘い花の香りが混じっています。


やがて・・・。
「ホホウ・・・」
コノハズクの年寄りがやって来ました。



「ホホウ・・・。わしが知恵を授けよう。
君の才能を開く魔法のメゾットじゃよ~」
コノハズクは自信たっぷりに言いました。


「じゃあ、僕の替わりに海のかなたへ行って下さい!」
ハトの若者がそう言うと、


「エッヘン。わし、年だしな・・・」
コノハズクはそそくさと去りました。


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こうして夜はふけました。
ハトの若者は一睡もできず、悩み抜いておりました。


夜が白々と明けて来ます。
・・・その時でした。
近くの枝が、揺れました。


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後編はこちら←  (=゚ω゚)ノ❤︎





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