izumiutamaro’s blog

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魔法使いと小さな龍6(最終話)

 

 

 

 


この物語には1~5がございます。


1 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11735799059.html


5 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11741498778.html






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【魔法使いと小さな龍6:最終話】





   *





龍はとうとう天空に消え失せました。
宙は大きく笑い、
自分たちの宝の子を抱きしめました。







歓喜の金がパラパラ降ります。





海も沸き立ち、
さざ波をフツフツ泡立て、祝福しました。





   *


          *





 

 

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一方魔法使いはどうなったでしょう。
彼は、あやういところで岩に変身、
なんとか難を逃れました。







元の姿に戻った時には、龍はすっかり見えません。
あきらめきれずに天に向かって叫びます。







「オーーイ、オーーーーイ! 
俺の龍ーーーーーー!!」

 






空はシンとし、見向きもしません。
魔法使いはおいおい泣きます。






 
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「あー行っちまった! 行っちまったよーー!!」






じだんだを踏み、飛びあがり、
おいおい、おいおい泣きました。






「あー行っちまった! 行っちまったよーー!!」




        *




さんざん、おいおい泣いた後、
ふと我に返って思いつきます。







「龍が仕返しに来ないだろうか?!」






そう考えれば考えるほど、恐怖がつのってきたのです。 
 
 
 
 


 
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「あーどうしよう、どうしよう・・・」







自分の家はぺしゃんこです。
幼い龍の力でさえも、計り知れない威力です。






「あーどうしよう、どうしよう・・・」






ふと見ると石造りの羊小屋が残っていました。
吹き飛んでいた羊たちが、メーメーベーベー戻って来ます。





   *






魔法使いは羊を押しのけ、一番奥に隠れてみました。






それでも不安がよぎります。

「いや、待てよ。
こんな程度じゃ、龍一族に見つかるだろう」






 
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「そうか! あの手があったんだ!」






魔法使いは羊の皮をかぶりました。
なんともおかしな格好でした。






   *





それでも不安がよぎります。
「そうか! あの手があったんだ!」






とうとう魔法をかけました。
自分自身を本物の、羊の姿に変えたのでした。






「これでひとまず安心だ!」













こうして羊生活が始まりました。


 
 

    *






羊たちの日常は、毎日毎日おんなじでした。





壊れた柵囲いからも出て行かず、
おいしい草を奪い合い、
暖かい寝床を奪い合い、
こづきあい、グチりあい、ののしり合って暮らします。







メーメーギャーギャー騒ぎをおこし、
四つの季節が巡っても、
羊はなんら変わりません。







毎年、毎年、同じ月日がめぐります。







 
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こうして長い月日が過ぎるうち、
魔法使いは大事なことを忘れました。





「自分自身は偉大な魔法使いである」

・・・それをすっかり忘れたのです。





本当に、本物の羊になったのですよ。
今でもそうしているのです。







メーメーギャーギャー。
メーメーヒーヒー。






  *


            *



 
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