ある晴れた春、ウサギの先生が子ウサギ3匹を集めて言いました。
「お前たち、必要なことはすべて学んだ。
今日はかなめの卒業の日じゃ。
皆、黒い森を通り抜け、みやげを持って帰っておくれ。
日暮れ、樫の木の下で会おう」
子ウサギたちは思いました。
「これは道を選ぶテストだわ。
どこが一番安全で、糧が多いか競うのね」
1匹目の子ウサギは黒い森を慎重に通過しました。
しかし、イチゴ畑に入ったとたん、
番犬に激しく吠えられ ひどく怯えて逃げました。
「畑の道を選んだなんて、愚かな選択だったのね」
2匹目はクローバーのリースを作りました。
けれど森を通過中、
キツネに見つかってしまいました。
ウサギは命からがら逃げました。
「森の真ん中を突っ切るなんて、
危ない道を選んでしまった」
3匹目は森をなんとか通過して、野原でタンポポをつみました。
その時、ワシが狙って来たのです。
ウサギは死にもの狂いで逃げました。
「野原の道を選ぶだなんて、私ったらなんてバカ」
春の美しい夕暮れがせまった頃、
微笑んだ先生が待っていました。
生徒たちはくたびれ果て、汚れ、落ち込んでいました。
プレゼントを持ち帰った者はいませんでした。
3匹は口をそろえて言いました。
「先生ごめんなさい。私たち、間違った道を行きました」
すると教師は微笑んだまま言いました。
「お前たちは、道の過程で懸命だった。
正しかったかどうかは、その道中でどれだけ学びができたかじゃ。
どの道を行っても間違えではない。
お前たちみんなが正解だ」
春の宵は長く美しく、
子ウサギたちの成長を称えました。
***********
もしかして、あなた。
ご自分の選択が間違っていたと、
後悔なんかしてません・・・よね?
( ̄ー ̄;