白いウサギが一匹、野原をかけて行きました。
明るい太陽と、5月のさわやかな風が吹き抜けます。
しばらくすると、全身真っ黒なウサギの村に出くわしました。
白ウサギは驚いて思いました。
「変なやつ!」
またしばらく行くと、まだら模様のウサギの村に出会いました。
「ありえない!変なやつ!!」
白ウサギは思いました。
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夕方、白ウサギが元来た道を帰って行くと、
まだらウサギの村では10匹ほどが白ウサギを見ています。
そして彼らは言いました。
「どうしたんですか?真っ白で!!
なにか災難でも?お気の毒に。お大事に」
白ウサギは変な気分で通過しました。
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しばらく行くと、黒ウサギの村を通りました。
黒いウサギが10匹、白ウサギを見ています。
「あなたはいったい何をしたの?
そんなに白くなっちゃって!」
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白ウサギは自分の村に戻ると、この信じがたい話をしました。
すると白ウサギの長老が言いました。
「そうじゃな、我々の常識からは考えられない話じゃ。
だがな、その村でも皆懸命に生きておるのだろう。
それぞれの理念で、それぞれの生き方をしておる。
わしらかて、そういうことじゃ。
それをお互いに批判しあう理由はあるまい」
白ウサギは少し心が落ち着きました。
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やがて 夕暮れは深まり、
初夏の夜風はウサギを眠りに誘ってゆくのでした。
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物質世界の常識的観点から考えると、
自分以外の人、自分たち以外の国、
自分たち以外の星・・・には、ありえない価値や常識があるようです。
それぞれがそれぞれを認めて行くってことでしょうか。
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