海の底に住むカレイである、
クレーマー・カレイマーは憮然として家に戻ってきました。
(この物語には第1話がございます)
http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11607725416.html。。。
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・・・彼は憮然として家に帰ってきました。
すると奥さんのカレイがしかめ面で言いました。
「アンタ、いったい今何時だと思ってるんだい?
まだ7時55分じゃないの。
家には門限があるって忘れたわけじゃないだろうね!」
夫であるクレーマー・カレイマーは口もきかずに居間に入りこみました。。。。。。
小さな泡ぶくが不満げに口元からこぼれています。。。。。。
すると妻はドラ声をはり上げて続けます。
「アンタ!夜8時前には家に帰ってきちゃいけないって言っただろ!夕飯なんかないからね!腹が空いたんなら、おととい作ったひじきの煮物でも食べな、戸棚にあるよ!」
吐き捨てるような言い方でした。。。。。
小さな潮のうねりが二人の間を通ります。。。。。
クレーマー・カレイマーは痩せていて、
しけた小カレイでしたが、妻はみごとな大カレイです。
とても力では及びません。
妻は歯の間をウニのトゲで突っつきながら、
すぐに自分一人の部屋に向かいました。
夫と顔を合わせているのが嫌でたまらなかったからです。
海藻でできた扉の入り口で、彼女は夫に背中を向けたまま、
目だけはギョロリと振り向きました。
「フン!クソおやじ。どうせまたどっかで言いがかりつけて来たんだろうよ。ったく!こっちまで評判悪くなるったらありゃーしない!」
するとクレーマー・カレイマーも負けじと怒鳴りました。
「俺はな!人様の幸せにのためにやってるんだぞ!」
妻のカレイはすかさず反論してきます。
イライラしっぽが砂をまき散らしました。
「なーにが人様の幸せだ。このヒガミ虫の、しみったれの、やっかみカレイめ!若いうちにさっさと離婚しときゃ良かった。いい加減にしないと追い出すよ!」
ピシャリ!
妻は扉の向こうに消えました。。。。。。
何も知らない小エビがその前をエッチラ、エッチラ通ります。。。。。。
クレーマー・カレイマーはそのドアに向かって叫びました。
「いいか!誰でもな、何かトラブルが起こった時に本音っつーもんが出るんだ。俺は海の奴らの本音引出し係りさ!」
。。。。。。。。小エビは驚いて飛びのきました。。。。。。。。
彼は続けて怒鳴りました。
「この海にはな、別れたいのに別れない奴。
くっつきたいのに正直に言いだせない奴。
辞めたいのに辞められない奴。
・・・そういう奴らがごまんといるのさ。
そんな時俺が、ひともんちゃくを起こしてやると、
グチャグチャになって、もめて、結局は落ち着くところに落ち着くもんだ。俺はこの海に貢献してるんだぞ、バカヤロー。
それなのに、この俺様を死刑にしようとしやがって。
ふざけんな!わかったかバカ女!」
そこまで言うとクレーマー・カレイマーは息を切らして黙りました。
場に沈黙が流れます。。。。。。
ちぎれた海藻が恐れをなして逃げ出しました。。。。。。。
どうやら妻からの反撃はなさそうです。
クレーマー・カレイマーが安心しかけたその時・・・・。
どこからかサザエが一つ飛んできました。
「ヒュッーーーーーー。コン!」
「イテッ!」
クレーマー・カレイマーは思わず頭をさすりました。
妻からの逆襲に間違いありません。
「クソー、あいつ覚えてろ!」
クレーマー・カレイマーは痛みに耐えつつ、つぶやきました。
海の奥深く。。。。。潮だまりと、砂と、岩の間でのできごとでした。
プク。。。。。。。。。。プクプク。。。。。。プク。。。。。。プクプク。。。
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さあ、クレーマー・カレイマーさんはどうなるのでしょう!
第3話、完結編に続きます。
(*^ー^)ノ
*完結編はこちら*