izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

落ち込み気味の少年

「あーあ・・・」
落ち込んだ少年が一人ブラブラ歩いていました。
公園につくと同級生が砂場で遊んでいます。

{37729613-5B1B-4308-8CE7-C7DA2A67EB4E:01}


「おい、何やってるんだよ」落ち込み少年が訊きました。
「今、秘密基地作ってるんだ!」
無邪気な少年がスコップで砂を掘りながら答えます。

落ち込み少年はその近くのコンクリに腰掛けました。
「おまえ砂遊びなんかしてどうすんの?
俺たちもう小学5だぜ」
しかし無邪気少年は遊びに夢中で返事をしません。


「俺なんか・・・」
落ち込み少年が憂鬱な声で言いました。
「昨日のテスト90点だったんだ」

すると無邪気少年は驚いて顔をあげました。
「90点!?」

「俺、頑張ったけどミスしたんだ」
落ち込み少年はさえない顔色でぼやきました。
「父さんにも ”お前がんばったわりには結果が良くなかったな” って言われた。
俺の父さん中学校の先生なんだ」

秋の公園に穏やかな光が落ち、植込みの下にはどんぐりが落ちていました。

{72499387-2FBE-4C3C-A2C6-3761E978D81D:01}


「お前、俺の話・・・聞いてんのかよ」落ち込み少年は疲れた口調で訊きました。

無邪気少年は相変わらず遊びに没頭していましたが、
ふと顔を上げて言いました。
「テストの事?僕・・・30点だったんだ」

「さ・・・30点?それでどうしたんだよ!」
落ち込み少年にとってそれはありえない数字でした。

「うん、父ちゃんに褒められた」
無邪気少年はうれしそうに答えます。
「なんで褒めるんだよ!」
落ち込み少年はむきになって言いました。

すると無邪気少年は自慢げに答えます。
「 ”お前の問題の解き方はゲイジュツテキだ” って父ちゃんは言うんだ。
”ザンシンな考え方ができれば30点で十分” だって」

落ち込み少年は言葉を失い聞いています。

無邪気少年は遊びの手を止めず、
楽しそうに続けます。
「だから ”外で何か作って遊んでこい” って父ちゃんに言われたんだ」

「お前の父ちゃんって何してる人?」
落ち込み少年はいぶかしげに尋ねます。
「いろいろ作る人」無邪気少年が答えます。

「作るって何なんだよ」落ち込み少年は少しイラッと訊きました。
すると無邪気少年が無邪気に答えます。
「僕の父ちゃんの仕事はね ”ソウゾウシュ” だって」

{44CB02A8-2C56-4B9C-BC56-164D7BBC168C:01}


・・・・・しばしの風が流れました。

やがて落ち込み少年は気づいたように叫びました。
「ソウゾウシュって・・・創造主!?」

 
{DE0D9476-0BF9-4ADA-9E4B-6E69580A347E:01}