「あーあ・・・」
落ち込んだ少年が一人ブラブラ歩いていました。
公園につくと同級生が砂場で遊んでいます。
「おい、何やってるんだよ」落ち込み少年が訊きました。
「今、秘密基地作ってるんだ!」
無邪気な少年がスコップで砂を掘りながら答えます。
落ち込み少年はその近くのコンクリに腰掛けました。
「おまえ砂遊びなんかしてどうすんの?
俺たちもう小学5だぜ」
しかし無邪気少年は遊びに夢中で返事をしません。
「俺なんか・・・」
落ち込み少年が憂鬱な声で言いました。
「昨日のテスト90点だったんだ」
すると無邪気少年は驚いて顔をあげました。
「90点!?」
「俺、頑張ったけどミスしたんだ」
落ち込み少年はさえない顔色でぼやきました。
「父さんにも ”お前がんばったわりには結果が良くなかったな” って言われた。
俺の父さん中学校の先生なんだ」
秋の公園に穏やかな光が落ち、植込みの下にはどんぐりが落ちていました。
「お前、俺の話・・・聞いてんのかよ」落ち込み少年は疲れた口調で訊きました。
無邪気少年は相変わらず遊びに没頭していましたが、
ふと顔を上げて言いました。
「テストの事?僕・・・30点だったんだ」
「さ・・・30点?それでどうしたんだよ!」
落ち込み少年にとってそれはありえない数字でした。
「うん、父ちゃんに褒められた」
無邪気少年はうれしそうに答えます。
「なんで褒めるんだよ!」
落ち込み少年はむきになって言いました。
すると無邪気少年は自慢げに答えます。
「 ”お前の問題の解き方はゲイジュツテキだ” って父ちゃんは言うんだ。
”ザンシンな考え方ができれば30点で十分” だって」
落ち込み少年は言葉を失い聞いています。
無邪気少年は遊びの手を止めず、
楽しそうに続けます。
「だから ”外で何か作って遊んでこい” って父ちゃんに言われたんだ」
「お前の父ちゃんって何してる人?」
落ち込み少年はいぶかしげに尋ねます。
「いろいろ作る人」無邪気少年が答えます。
「作るって何なんだよ」落ち込み少年は少しイラッと訊きました。
すると無邪気少年が無邪気に答えます。
「僕の父ちゃんの仕事はね ”ソウゾウシュ” だって」
・・・・・しばしの風が流れました。
やがて落ち込み少年は気づいたように叫びました。
「ソウゾウシュって・・・創造主!?」