あるところに詩(うた)を創るのが得意な白サギがおりました。
その詩はまるで透きとおった風でした。
サギは自分の詩を遠い空まで届けたいと願っていました。
するとそれを聞いた、親切な者たちが言いました。
「確かにこの詩はすばらしい。でもとりあえず近場の者に聞かせたら?」
タカが理性的に言いました。
「確かにこの詩はすばらしい。でもむやみに歌ったら、それはもったいないんじゃないの?」
コウノトリが心配して言いました。
「確かにこの詩はすばらしい。でもちゃんと準備して、計画的に発表しなきゃ」
カラスが賢く言いました。
タカも、コウノトリも、カラスも、白サギと・・・白サギの詩が好きでした。
そして親切な仲間は口をそろえて言いました。
「いいかい、君はここにいて、詩を創っているんだよ。
僕らがなんとかしてあげる」
そしてどうすれば彼女の願いが叶うのか、
遠くへ飛んで画策しました。
***
白いサギは待っていました。
たくさんの詩ができました。
でも、彼らは戻って来ません。
サギは歌わずに待っていました。
くちばしを閉じ、遠くの空ばかりを見ていました。
***
ずいぶんたったある日のこと、
タカと、コウノトリと、カラスが戻って来ました。
ところがどうしたことでしょう。
サギはパッタリ死んでいます。
フクロウの監察医が呼ばれました。
そして調査の結果言いました。
「これは窒息じゃ」
「窒息?」
タカも、コウノトリも、カラスも、口をそろえて訊きました。
「窒息じゃよ。詩が詰まって死んでおる」
フクロウはこともなげに言いました。
***
白サギの体は冷え切って、もう魂はそこにいません。
そして、サギが歌うはずだった詩も、将来生まれるはずだった詩も、
永遠に失われてしまいました。
それはもう、とりかえしのつかないことでした。
*****
***
*
くうっ。。。
私は・・・こんなふうに死にたくない!
(T_T)