izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

モグリンと、地面の一番奥3

この物語には1・2がございます。
1 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11746165963.html
2 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11746182085.html


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モグリンがやってきた水晶の洞窟は、時間の止まった場所でした。
その無言の光と色の中に、透明の精神が宿っているのを彼は感じたのです。

「・・・そうさな」
モグリンは思い出したのです。
「こりゃ~夏の初めのツバメに似とるわ」



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五月の風に乗って来るその鳥は、モグリンにとって魅力的なものの一つでした。
ツバメは自由に風を切りさき、風に乗り、
まるで風の使い手でした。

季節は夏に向かっています。
地面からは温かい土の匂いが立ち昇り、
レンゲの花が笑い、お日様は特別陽気です。

土のトンネルの中で、モグリンは見えなくてもツバメを知っていたのです。

お日様が一番高いところに来た時、
ツバメはそれを真一文字に横切ります。

モグラが一生見つめることのできないお日様の光を突っ切って、
ツバメは飛んで行けるのです。

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本当のところ、モグリンは悔しさを感じておりました。
ツバメを妬ましく思っていたのです。
そして暗い土の中で、一生泥にまみれて暮らす自分を、
情けなく思っていたのでした。

なんといっても、自分を情けなく思う自分自身が、嫌でした。

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水晶には何の悩みもなく、欠点もなく、
ただただ純粋さと美しさだけでした。

その存在はモグリンにとってツバメと同じでありました。

水晶の洞窟を眺めながら、モグリンはその時の辛い想いを反芻しました。
結晶はどこまでもどこまでも透明でした。
凝縮された時間が、そこにとどまっておりました。


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モグリンは水晶たちの神殿を去り、
さらに地下へと進みます。

地面の奥の、そのまた奥に、本当は何があるのかを探して。


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物語は静かに続きます。
彼が最後に何を見つけるのか、モグリンを一緒と体験してくださいね。
(*^ー^)ノ