この物語には1がございます。
http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11746165963.html
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モグリンは掘りました。
地面の奥の奥に向かって、掘って、掘って、掘り進みます。
サクサクッ。サクサクッ。
はじめ地面はやわらかでした。
ところが次第に硬く、穴は寒さが増しました。
氷と土が混じっています。
冷たさがモグリンの小さな指先、短い腕から全身に伝わりました。
彼はキリキリ凍えてきます。
ガリガリッ! ガリガリッ!
指先から血が出ています。
毛皮も濡れて、凍ってきました。
それでも掘って、掘って、掘り進むうち
モグリンは何かを感じます。
寒さと、冷たさは以前も感じたことだったのです。
最愛の妻を失った時、
モグリンの心は凍えました。
もうどうしようもなくさみしくて、悲しくて、彼の心は凍てつきました。
目の前にある凍った土が、その時の気持ちと似ておりました。
それでもその硬い地層を抜けると、不思議なことに辛い気持ちも抜けました。
もちろん悲しさがなくなったわけではありません。
ただ一つだけ知っていたのは、もうじき妻に会えるだろうということでした。
:::::::::::::::::::
ところが次にさしかかったのは、
ベトベトの茶色い粘土でした。
それはやっかいな泥となり、モグリンの体にまとわりつきます。
手足の自由を奪い、毛皮にくっつき重いのです。
こうなるとごくゆっくりしか掘り進めません。
気持ちはイライラ、体はモタモタしていると、
だんだん思い出しました。
「これは・・・あん時の嫌な気分に似ているな」
モグリンは以前ウソをついたことがあったのです。
いえいえ、たいしたウソじゃありません。
裕福なモグラの親戚と話しているうちに、
「自分だってミミズの蓄えが部屋いっぱいある」と、言ってしまった事でした。
そのウソは誰かを傷つけたわけではありません。
ごくたわいもないものでした。
けれども「自分は見栄を張って、ウソをついてしまった」という記憶が、
いつまでも彼を苦しめました。
小さなたわいもないことでしたが、
モグリンにとって消し難い恥じであり、後悔の一つだったのでした。
赤茶色のべとつく泥と格闘しながら、
モグリンはもう一度その感情と格闘しました。
やがて、そのやっかいな地層は終わりました。
モグリンを占拠していたあの感情も去りました。
彼の姿は泥の一部のようになっていました。
:::::::::::::::::
・・・次に来たのは、
なんと水晶の洞窟でした。
***********
物語はゆるやかに進みます。
(*゚ー゚*)
静かではありますが、苦しさを体験しますね。
冷たさがモグリンの小さな指先、短い腕から全身に伝わりました。
彼はキリキリ凍えてきます。
ガリガリッ! ガリガリッ!
指先から血が出ています。
毛皮も濡れて、凍ってきました。
それでも掘って、掘って、掘り進むうち
モグリンは何かを感じます。
寒さと、冷たさは以前も感じたことだったのです。
最愛の妻を失った時、
モグリンの心は凍えました。
もうどうしようもなくさみしくて、悲しくて、彼の心は凍てつきました。
目の前にある凍った土が、その時の気持ちと似ておりました。
それでもその硬い地層を抜けると、不思議なことに辛い気持ちも抜けました。
もちろん悲しさがなくなったわけではありません。
ただ一つだけ知っていたのは、もうじき妻に会えるだろうということでした。
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ところが次にさしかかったのは、
ベトベトの茶色い粘土でした。
それはやっかいな泥となり、モグリンの体にまとわりつきます。
手足の自由を奪い、毛皮にくっつき重いのです。
こうなるとごくゆっくりしか掘り進めません。
気持ちはイライラ、体はモタモタしていると、
だんだん思い出しました。
「これは・・・あん時の嫌な気分に似ているな」
モグリンは以前ウソをついたことがあったのです。
いえいえ、たいしたウソじゃありません。
裕福なモグラの親戚と話しているうちに、
「自分だってミミズの蓄えが部屋いっぱいある」と、言ってしまった事でした。
そのウソは誰かを傷つけたわけではありません。
ごくたわいもないものでした。
けれども「自分は見栄を張って、ウソをついてしまった」という記憶が、
いつまでも彼を苦しめました。
小さなたわいもないことでしたが、
モグリンにとって消し難い恥じであり、後悔の一つだったのでした。
赤茶色のべとつく泥と格闘しながら、
モグリンはもう一度その感情と格闘しました。
やがて、そのやっかいな地層は終わりました。
モグリンを占拠していたあの感情も去りました。
彼の姿は泥の一部のようになっていました。
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・・・次に来たのは、
なんと水晶の洞窟でした。
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物語はゆるやかに進みます。
(*゚ー゚*)
静かではありますが、苦しさを体験しますね。