この物語には1・2・3がございます。
1 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11746165963.html
2 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11746182085.html
3 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11750319102.html
*************
その後もモグリンはいろんな地層を奥へ奥へと進んで行きます。
濁った地下水で溺れそうになり、
真っ黒い油の砂で、ネトネトになり、
熱を帯びている地層では、毛皮のほとんどが焼け焦げました。
それらを通過する度に、モグリンは自分自身を思い出していったのです。
地上世界は瞬間、瞬間が歓びであり、輝きでした。
各々が美しく、魔法に満ちておりました。
けれど地下のモグリンだけは、よそ者でした。
彼はそこには入れません。
:::::::::::
モグリンは血だらけの指で、狂ったように地面を掘ります。
「ガリッ! ガリガリッ !メリッ! メリメリッ!」
歯はギリギリ鳴り、涙はグチャグチャになって流れました。
体はすっかりボロボロで、もうモグラにすら見えません。
飲まず食わずで痩せ衰えていきました。
彼にとって自分自身など、どうでもよくなっていたのです。
地面の一番奥に何があるかを知って、
早く、妻のいる天国に行くこと。
モグリンをかりたてているのは、ただそのことだけでした。
::::::::::::::
そしてついに、モグリンは地面の一番奥に着きました。
そこにはぽっかりと巨大な「白」がありました。
************
次回最終話。
(*゚ー゚*)
単調で、地味なキャラクター、そして長い物語。
難しいことをわかっていて書き始めたこのストーリー。
私にとって一つのチャレンジなのです。
( ̄ー ̄;