「それでは・・・」
長老の一人が言いました。
「今夜の議題に入ろうか」
*
そこは、ほの暗い場所でした。
スーツ姿の若い男が一人、
そして彼を取り囲み、
白ひげの、威厳を放つ老人たちが、
一様に白い僧衣をまとっています。
そこは若い男の「夢の場」でした。
彼は自分の夢の中で、
「そうじゃな。そなたは困った現状を繰り返し訴えてきた」
声はしたものの、どの長老が発したものか、
若い男はすぐ本題に入りました。
「俺の解決したい問題はこれだ。
1 今の収入では足りない事
2 やりたいことはわかっているのに、
今まで何度頼んだと思ってるんだ!」
彼はキレぎみに言いました。
長老たちは静かに聞いておりました。
おもむろにそのうちの一人が答えます。
「我々は、あなたが問題にフォーカスしていると、それを助けることができない。
なぜなら、フォーカスしているそのものにしか、
エネルギーを与えられない」
別の長老が続けて言います。
「我々はそなたが想う、
望ましいビジョンにフォーカスすべきじゃ。
そうすれば我々はそなたの望みにいくらでも援助できるであろう」
彼は暗い表情で、ぐっと黙ったままでした。
するとまた別の長老が言いました。
「あなた方は問題が深刻であればあるほど、
問題そのものについて考え、
彼らはいわば夢想家なのじゃ。
やがていつかはそのとおりになる」
また別の長老が言いました。
「我々の力が欲しければ、
我々にそのビジョンを見せてもらおう。
我々はそのビジョンに従うであろう。
幼い鳥が初めて巣穴から出て飛ぼうとする時、
小鳥は”落ちるかもしれない・・・
彼らは”あの空に羽ばたきたい!
場に沈黙が流れます。
やがてまた別の長老が、
彼の地上の肉体が、
「わかったよ・・・」
「忘れんでくれよ・・・」
長老たちは静かにほほ笑み、
こうして会議が終了しました。
彼もゆっくり・・・去りました。
*
。
*
*
。
「今夜の議題に入ろうか」
*
そこは、ほの暗い場所でした。
スーツ姿の若い男が一人、
小さな木の椅子に座っています。
そして彼を取り囲み、
白ひげの、威厳を放つ老人たちが、
ぐるり座っておりました。
一様に白い僧衣をまとっています。
そこは若い男の「夢の場」でした。
彼は自分の夢の中で、
「そうじゃな。そなたは困った現状を繰り返し訴えてきた」
声はしたものの、どの長老が発したものか、
彼にはわかりませんでした。
彼らは無表情で話すからです。
彼らは無表情で話すからです。
若い男はすぐ本題に入りました。
「俺の解決したい問題はこれだ。
1 今の収入では足りない事
2 やりたいことはわかっているのに、
そちらに進めない事
3 いつも彼女にふられてしまう事
4 いつまでたっても水虫が治らない事
3 いつも彼女にふられてしまう事
4 いつまでたっても水虫が治らない事
今まで何度頼んだと思ってるんだ!」
彼はキレぎみに言いました。
長老たちは静かに聞いておりました。
誰も表情を動かしません。
おもむろにそのうちの一人が答えます。
「我々は、あなたが問題にフォーカスしていると、それを助けることができない。
なぜなら、フォーカスしているそのものにしか、
エネルギーを与えられない」
別の長老が続けて言います。
「我々はそなたが想う、
その事・・・そのものに、
エネルギーを与えてしまう。
望ましいビジョンにフォーカスすべきじゃ。
そうすれば我々はそなたの望みにいくらでも援助できるであろう」
彼は暗い表情で、ぐっと黙ったままでした。
するとまた別の長老が言いました。
「あなた方は問題が深刻であればあるほど、
問題そのものについて考え、
理想的なビジョンを想い描こうとはしない。
問題を分析し、集中し、そして解決するようにと教育されておるからじゃ」
さらに別の長老が言いました。
「冬を越して花をつけるものたちを見たまえ。
彼らはなぜ咲けるのか。
どんなに厳しい雪嵐でも、
さらに別の長老が言いました。
「冬を越して花をつけるものたちを見たまえ。
彼らはなぜ咲けるのか。
どんなに厳しい雪嵐でも、
自分が美しく咲くその瞬間を、じっと想っているからだ。
水仙も、雪柳も、スミレもな・・・。
彼らが冬を恨み、凍りつく地面をどうにかしようと思っていたなら、
けして春には咲けないじゃろう。
水仙も、雪柳も、スミレもな・・・。
彼らが冬を恨み、凍りつく地面をどうにかしようと思っていたなら、
けして春には咲けないじゃろう。
彼らはいわば夢想家なのじゃ。
やがていつかはそのとおりになる」
また別の長老が言いました。
「我々の力が欲しければ、
我々にそのビジョンを見せてもらおう。
我々はそのビジョンに従うであろう。
幼い鳥が初めて巣穴から出て飛ぼうとする時、
小鳥は”落ちるかもしれない・・・
”という事に、意識を向けてはいないのだ。
彼らは”あの空に羽ばたきたい!
”その事だけに、意識を向けているのだよ。
花たちも、幼い鳥も何も心配していない。
それゆえ咲くことができ、飛ぶことができるのじゃ」
花たちも、幼い鳥も何も心配していない。
それゆえ咲くことができ、飛ぶことができるのじゃ」
場に沈黙が流れます。
やがてまた別の長老が、
低い声でつけたしました。
花にも鳥にも迷いはないのだ。
花にも鳥にも迷いはないのだ。
しかし彼らはそれ以外のことを想像しない。
そして想像しないということは・・・
そして想像しないということは・・・
今、以外のものにはなれない・・・
心配も想像もできる特異な力は、
人間だけのものなのじゃ」
彼は黙ったままでした。
場がぼんやりと消えて行きます。
彼は黙ったままでした。
場がぼんやりと消えて行きます。
彼の地上の肉体が、
今日も目覚めようとしているからです。
「わかったよ・・・」
彼がぽつんと言いました。
「忘れんでくれよ・・・」
長老たちは静かにほほ笑み、
場がゆっくりと消えました。
こうして会議が終了しました。
彼もゆっくり・・・去りました。
*
。
*
*
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