いまや廃棄物の町は緑にあふれておりました。
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この物語は魔法使いと少女の物語です。
1~12章(各章20秒で読了可能)
はじまりはこちら→魔法を売る町1
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いまや廃棄物の町は緑にあふれておりました。
龍はゆるやかに体をしならせ、
天へと昇りはじめます。
娘は感謝と恋しさで、涙が次々こぼれました。
町に残されている人々も、
皆、龍を仰ぎ見ます。
その時でした。
龍の詩(うた)が降ったのでした。
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東の空に二重の虹が現れました。
これは魔法の虹ではなくて、本物の虹でありました。
龍の声は朗々と響きます。
そこにある息吹き
我々の、空の、天の、雫を知れ
魔法の力の、それを越えた力を知れ
天の力
我の力
そなたの源の力よ
風が吹き終ることはなく
風が止まることもない
命がとどまることはなく
神の意志が止まることもない
夕凪の静けさ
朝焼けの静けさ
それらを想う時、
天は汝に力を与える
龍は天に昇りながらも、人々の魂深く、
詩を送り続けます・・・。
虹はいよいよくっきりとしてきました。
+◇+◇+◇+◇+◇+
その言葉を降ろせ
我は汝なり、汝は我なり
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龍の詩は終わりましたが、
それは長く長くとどろいて、永遠に人々の魂に響きました。
龍は娘とそこにいる人々だけでなく、
世界中・・・。そうです、
この物語を読んでいるあなたに祝福を送ったのです!
本当に世界の人々が、その解放を受けたのですよ。
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雨は小降りになり、龍は遥か天空に消え失せます。
娘は手を振り、笑顔と涙で見送りました。
虹はまだくっきりとありました。
それでも彼女の心のうちは、
別れがたさでいっぱいでした。
その時でした。
娘は何かにぶつかり足元を見たのです。
それは美しいジェリーケースでありました。
拾い上げると、中にはクリスタルタンブル(水晶の玉)が
7つ入っていたのでした。
そうです、これはあの時の(第6話)
彼女の涙の粒でした。
澄んだ虹色を放っています。
娘自身は龍からの贈り物だと理解しました。
そしてあらん限りの大きな声で、
去りゆく龍に叫びます。
魔法を売る町12(最終章)
遠い世界より来る者よ
我の言葉を聞け
遥かなる地の詩
遥かなる風の詩を聞け
そこにある命
+◇+◇+◇+◇+◇+天と地と命をつなぐ者よ