朝露に濡れる夏の森に、一人憂鬱なものがおりました。
彼女はくよくよ考えます。
*
「ああ・・・。
あの朝顔はあんなにも要領よくからまって
あんなにも天高く伸びている」
「それと比べて私ときたら、なんてのろまな成長かしら」
彼女は棒切れのように伸びた自分の姿を見つめ、がっかりしました。
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翌朝になると、朝顔はたくさんの花を咲かせます。
朝の光を浴び、花たちは歌っているようでした。
それを見て彼女は思いました。
「なんて豪華なたくさんの花!
それに比べて私ときたら、たった三つのつぼみだけ」
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その翌日も朝顔は色とりどりの花を咲かせました。
朝露にきらめき、どの花も甲乙ない美しさでありました。
「ああ、まるで色の合唱」