「人はどうして前世記憶を、
ほぼ全部消されているのでしょうか?」
( ̄Д ̄;;
それに関わるストーリーが降りました。
短い物語スタイルでお届けします。
(*^ー^)ノ
(この作品は2014年10月に執筆したものです。
未読の方にもお届けしたく、再アップいたします)
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【白いキャンバス】
ある女性が、落ち葉散る庭にキャンバスをたてておりました。
イチョウ、モミジ、ケヤキの葉・・・。
彼女の足元で乾いた葉っぱがカサカサします。
空は高く晴れ、空気はひんやりとし、
お日様はご機嫌な午後でした。
*
ベレー帽にスモッグ姿のその女性は、
画家の卵でありました。
真っ白なキャンバスの前に立ち、
思いつめた表情でつぶやきました。
*
「神様・・・私にはわからないのです。
なぜ人間は、毎回、毎回生まれるたびに、
全ての記憶をなくすのですか?
私はその度に自分を忘れ、
自分の望みを忘れ、
自分に必要な手がかりを全て忘れてしまいます。
私には絵を描いていた前世もきっとあるはずなのです。
それも知りたい・・・。
どうか・・・私の持っている記憶を、
この手に再び取り戻させてください!!」
*
すると神様が彼女のすぐ脇に現れました。
ギリシャ神話風の、白いドレープのついた、奇妙な服装でありました。
メタボ系のお腹です。
丈の短すぎる衣裳の裾から、毛むくじゃらの脛が目立ちました。
その上、頭はハゲちゃびんです。
なんともなさけない顔の神様は、
震えながら言いました。
「ここ寒いの~。わし、寒いの苦手!」
( ̄Д ̄;;
そう言ってモジモジ体を揺すります。
*
けれど真剣な彼女の眼差しに見つめられ、
仕方なしに言いました。
「それはできんこともないけど~。
せっかくのそのキャンバスが・・・」
( ̄Д ̄;
神が指さしたのは、
彼女の目の前にある白いキャンバスでした。
「そのキャンバスに・・・
真新しい美しい絵を描くのじゃろう?」
( ̄Д ̄;
すると彼女は思いつめた口調で言いました。
「そうなんです。
でも、私には・・・”わずかな自分しかないように”思えます。
だから、私が他生で培ったもの全て・・・それを取り戻したいのです!」
*
「うーぬぬ」
( ̄Д ̄;・・・。
神は言いました。
「それじゃ戻してやってもいいが・・・・
後で文句を言わんでくれよ」
「ありがとうございます。
文句などけして言いません」
彼女は瞳を閉じました。
*
*
*
*
*
*
しばしの風が吹いて行きます。
そして神様の気配が消えた後、
彼女の胸の奥の奥~の方でごく小さい声がしました。
「いや~。ここはあったかいの~。
わし、ここ大好き♡」
*
彼女が目を開くと、神様はおらず、そこにはあの白いキャンバスが、
深く塗りこまれておりました。
色という色で、何度も分厚く塗りこめられ、
それはほとんど黒でした。
*
「これはどういう事なのかしら?
これじゃあ、新しい絵は描けないわ!」
するとはるか彼方、彼女の心の奥で神様がブツブツ言いました。
「だからな、言ったじゃろ?
真新しい絵を描くには、真っ白いキャンバスが必要だ。
今までの分、全部出てきたら、新しい絵は無理じゃろう。
わし、恨まんでくれな! な!?」
( ̄Д ̄;;
*
そう言い残して、神様の声は消えました。
彼女はしばし呆然となり、やがて泣き崩れてしまいました。
「お願いです。神様。
私にもう一度白いキャンバスを与えてください。
このままでは、私はどうすることもできません・・・」
すると再び小ーさな声が答えます。
「そーくると、思っとったわ。
じゃがな・・・一つ問題がある・・・」
「なんでしょう?」
彼女は濡れた瞳で宙を見ました。
「わし、戻し方思い出せない・・・・」
( ̄Д ̄;;
「ええええ!!!?」
彼女は絶望的に叫びました。
*
「いや・・・ちょっと待って、くしゃみが・・・」
「ヘーーーーークション!」
*
・・・その時でした。
目の前の真っ黒なキャンバスが、
元通りになったのでした!
彼女は息を止めました。
震える指先で、無垢な表面に触ります。
*
そして彼女は、その白紙のキャンバスを・・・
思わず、ギュッと抱きしめました。
涙が一筋こぼれます。。。。
*
落ち葉散る、秋の午後でした。
カサカサ、葉っぱが鳴りました。
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(*^ー^)ノらぶ♡
*補足情報*
この物語は書籍「月明かり物語」には編入されておりません。
(*゚ー゚*)