izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

物語:カエルの跳躍

夏の夜明け前のことでした。
サトイモ畠の濡れた地面で小さなアマガエルが
懸命に跳びはねています。

「ピョン!もう一度・・・ピョン!またダメだ・・・」
彼は半べそでサトイモの葉を見上げました。

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そこへ大きなヒキガエルがやってきました。
「お前さんいったい何しとるんじゃ?」

アマガエルは答えます。
「あのサトイモの葉のくぼみには、
丸い水晶があるそうです。

朝日が射したら、虹色になるそうですよ。
どうしてもそれを見たいんです」



photo:08



「そりゃけっこう。で、飛び乗るコツは心得とるかね?」
のっそりとヒキガエルが尋ねました。

「ええ、そのつもりです。でも失敗続きだと、自分が愚かに思えてきます」
アマガエルは
悲しげに地面を見つめました。

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するとヒキガエルはのんびり声で言いました。
「お前さん大事なことを忘れておるよ。
高く跳ぶには、深く踏みこむが肝心ってな」


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アマガエルはびっくり顔になりました。
そして地面ギリギリに這いつくばると、とうとうみごとに跳躍しました。

葉っぱのはじにつかまって、なんとか飛び乗り成功です。
そしてそこにはまん丸い、透きとおった水晶がありました。
それは夜露でできたものでした。


photo:10



アマガエルはうれしさのあまり言いました。
「地面にいるのはみじめだったよ。
跳べない自分に嫌気がさしてた。
でも跳べたのは自分のおかげだ」


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いよいよお日様が現れました。
サトイモ畠に金の光が射しこみます。
水晶は虹色を帯びました。

アマガエルも虹色に染まりながら、
天まで登った心もちで、
たくさんの水晶をのせたサトイモ畠を見わたすことができました。


photo:07


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もしかしてあなた・・・
地面でがんばる自分を けなしていたりしませんか?
もしかして・・・。
( ̄ー ̄;