エルグレコはどこにいたのか。
彼はまるでベールの向こう側から、
こちらの世界を見ていたようだ。
さながらすべての作品が、
物語への挿絵のようだ。
彼の肉体は物質世界にいたはずだが、精神は地上に至るほど、
降りてはいなかったということか。
それとも役者だったのか?
キリストの苦悩や、殉教者の受難など、
悲惨なテーマを扱いながら、
彼自身の精神は、何ら苦痛を感じていない。
狂おしい信仰心なども別段感じられない。
淡々と あるいは楽しんで、それらを描いている。
登場人物にさえ苦しみは感じられない。
ただやすやすと、ゆうゆうと、
そのストーリーを展開している。
どうりで…
私が展示会場冒頭の自画像を見つめた時、
自画像自身が「フン! フフッ」
っと笑ったわけだ。
(; ̄ェ ̄)
**エルグレコ*
物語の中のリアル********
春めいた日の都立美術館。
公園では桜が8分咲き。
:*:・( ̄∀ ̄)・:*: