izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

物語:金鉱掘りと長老

そのジャングルの奥には金脈があることがわかっていた。
金鉱掘りたちはその一帯の土地を買い占めた。

しかし、そこが本当にお金と交換で、
男たちの物になったかは別問題だったが。

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めざす山はジャングルに囲まれている。
採掘調査団はその山への進路を考えあぐねていた。
そして、原住民の年老いた男をそこへ連れてきた。

彼は部族の長老だった。
問われると彼は言った。
「その山へ真っ直ぐ行くことなどできんよ。
回り道?道なんかないさ。自分たちで切り開くんだな」

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男たちはイライラした。一刻も早く目的地に到着したかったのだ。
そして地図上での最短距離である真っ直ぐなルートをとろうとした。
しかし、コウモリのいる洞窟や、ワニがウヨウヨする大きな川に阻まれた。

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仕方なくジャングルの中を通り、迂回して進んだ。
しかしそこにも道はなかった。長老の言ったとおりだった。
彼らは汗をかき、虫やらヘビに脅かされヘトヘトだった。
そして時にはどしゃぶり、時には雷、時には故郷への恋しさに悩まされた。

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ようやくその山に近づいた時、
あの長老がふと現れた。
「そうじゃろ。真っ直ぐは近いようで失敗する。
遠回りかてすでに敷かれた道はない。
人生とおんなじじゃ。フォッフォッフオッ・・・」
そう言って彼は森に消えた。

地べたに座り込み、汚れて疲れ切った男たちには
その言葉はずいぶん深く刺さったようだ。
ジャングルは熱く、深く、彼らを包んでいるのだった。


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最短、最速で目的を達成するよう、私たちは学校や社会から要求されます。
けれど、真実の道はそうは行かないようですね。

魂が物質界で豊富な体験をするには、
道が遠いことを望むのかもしれません。
・・・・疲れるけど。
(-""-;)