izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

物語:悲観にくれる王女

そのバレエ舞台「白鳥の湖」が終わった後、
王女役の彼女は舞台そでに倒れていました。

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「どうしたんだい?」監督が訊きました。
「だって・・・」彼女が答えます。

「あのうっかり者のジークフリードが・・・」
(ジークフリードとは王子のこと)
「バカだから白鳥と黒鳥を間違えてこんな結末に。
私と結婚してくれるって誓ったのに・・・。
そうすれば、私は永遠の悪魔の魔法から解き放たれるはずだったのに」
彼女はすすり泣いています。

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「わかった。わかった」監督は困り顔で言いました。
「でもそれも終わった話だ」

「終わってなんかないわ!!」彼女はむきになって怒鳴りました。
「私こんなに傷ついて、こんなに打ちひしがれているんだもの。
忘れるなんてできっこない!」
彼女は号泣し始めました。

監督はやれやれ顔で帰りました。

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日舞台の清掃員が出勤すると、まだあの彼女が泣いています。
「王女様いかがなさいましたか?」清掃員は半ばジョークで声かけました。
すると彼女は泣き濡れた顔で答えます。
「だって・・・あの悲しみが私を征服しているのよ。
どうすることも、できないわ」

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困った清掃員は舞台監督に連絡しました。
彼はやって来ると言いました。

「悲しみのオデット王女様。お気持ちはわかりますが、
次の演目はコッペリアでございます。
あなた様がそのままですと、他の者が主役の座となりますが、
それでもよろしいでしょうか?」


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翌日彼女は泣きはらした目で、次の舞台稽古をはじめました。
心はまだ憂いに沈んでいるようです。

一か月後、彼女はコロコロ笑っておりました。
「だってスワニルダってこういう役なの。
オデットのこと?ええもちろん覚えているわよ。
でも、あれからいろんなことに夢中になったの。

毎日稽古に励んだわ。
そしたらだんだん薄れたの!
ジークフリードのこと?
もちろんまだ許してないわよ。

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でも、それよりこの振付に夢中なの!!
見てよあたし!
こんなにかわいいの!!」
彼女はいたずらっ子のようにはしゃいでいます。

それを遠目で舞台監督が見ていました。
「やれやれ、王女様の悲観病には、次の役での活躍が、
特効薬になったようだ」


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誰でも人生、大小ショックなことありますね。
その感情を永遠に演じるのも自由。
次の役で活躍するのも自由です。
:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

けれど、
次に行くのが、立ち直りには効果的かもしれませんね。
(  ゚ ▽ ゚ ;)