izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

物語:珍病-ナガラ症候群

夕方痩せて、青白い顔の若者が病院から出てきました。
彼はフラフラと路地を歩きます。
ふと、道のかたわらで「易占い」と書いた場所にいる男が声かけました。


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「おまえさん、だいぶ病が進行しとるな」
すると若者はうつろな目をして振り向きました。
「ええ、知ってます。でも何の病気かわからないんです」

「そうじゃろ、医者にはわからんだろ」
易者はフフンとつぶやきます。
若者は立ちすくんだまま言いました。


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「前から印象がない・・とか、影が薄いね。とか言われてました。
でも本当に影が薄くなっているんです。

最初内科に行きました。でも僕の半分スケルトンの体見て、先生どんびきしちゃいました。
それで・・・
”これは世界にまれにみる新しい病気だぞ。
うーん。どうだね、とりあえず、免疫抑制の大量投与してみない??”
と言われました。

僕は恐ろしくなって、皮膚科に行きました。すると・・・
”うーん。なんだかわからない病気だけど、とりあえず抗がん剤やってみよーか??”
と言われました。

僕は逃げ出して外科に行きました。そこでは・・・
”うーん。これは世界でも例がない。レントゲンですらウスウスだ。
とりあえず放射線治療してみない?全身に!!”
・・・・・・僕はやっぱり逃げ出しました。いったいどうすればいいんでしょう」
若者は易者の前に座りました。


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易者は名刺を取り出します。
そこには”藪居 洒太郎”-ヤブイシャタロウーと書かれてあります。
「なんですか?これは」若者が訊くと、
「ワシはな、40年に病院から追放されたんじゃ」
「どうしてですか?」か細い声で若者が訊きました。

「医師免許がなかったからじゃ」易者はケロリと答え、続けます。
「だがワシにはそんじょそこらの医者にはわからんことがわかるぞ!」
彼は自慢げに長い白ひげをなでながら言いました。


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「お前さん、体がスケスケになった日、何をしておった」
「ええと・・・家にいてテレビを見てました」彼はぼんやり答えました。
「それだけじゃなかろう。よーく思い出すんじゃ」易者は睨むように問いただします。

若者は真剣に思い出そうと努力しました。
「あの時僕は・・・テレビ見ながら・・・アイスクリームを食べながら・・・
猫のレモンがもの欲しそうにするのを見ながら・・・
アイポッドで音楽聞きながら・・・携帯で話しながらしながら・・・
話の途中ネット上のリサーチしながら・・・
アイパッドでツイートしながら・・・
パソコンで電子書籍のコミック読みながら・・・
メールしながら・・・洗濯機を回していました」彼はためいきまじりに言いました。

「それじゃっ!!!」いきなり易者がどなったので、若者は飛びあがりました。
「まさしく”ナガラ病”じゃ!」
「ナガラ病?」
「つまりじゃ、細分化されすぎた意識に引きずられ、肉体もそれぞれに分かれて
分割され、希薄になったんじゃな」


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「治るんですか?」若者は必死の形相で訊きました。
「おまえさんしだいじゃ。多方面に意識を同時進行させすぎると、ゆうれいみたいになっちまうぞ。
まぁ、そういう患者はいっぱいおるよ」

「ひとつひとつやれってことですね」
「うん。まあ、同時には2つくらいにしといたら?
はい、今日の鑑定料5万円」
易者はニコニコ顔で言いました。



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みなさんも、ゆうれいみたいになってませんか?
( ̄ー ̄;
私の場合、ルナ(ФxФ)先生が
「今、この場に」もどしてくれます。
(; ̄ェ ̄)
ギャー!!



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