「いったい奴らをいつまでのさばらせておくおつもりですか!」
青い風の剣士が創造主に向かって鋭く言いました。
青い風が訴えているのは地上でうごめく、二匹のムジナのことだったのです。
「この剣で私が成敗して参ります!!」
青い風は今にも出陣する勢いです。
創造主は天の庭を優雅に散歩しておりましたが、
振り向いて彼を見ました。
「そなたは正義感にあふれ、勇敢で、その上慈愛に満ちた存在じゃ。
私はそなたのことを頼もしく、誇りに思う。
私の大切な一部であるそなたよ、私の愛が理解してもらえるといいが・・・」
青い風は姿勢を正して真っ直ぐに創造主を見つめています。
「一方で…」
創造主は続けて言いました。
「あのこざかしく、勘定ずくめで、狡猾なムジナたち。
あれらが何をしていて、何をたくらんでおるのか私も心得ておる。
それを知ったうえで言うが・・・」
創造主はそこで言葉を止めました。
青い風は怪訝な表情で次の言葉を待っています。
しばしの風が流れました。
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創造主は足元に咲いている小さな白い花に微笑みながら触れました。
花は恥ずかしそうに揺れています。
やがて創造主は再び青い風を見つめました。
「そなたは理解できないかもしれない。
けれどムジナたちも実は私の一部じゃ。
もちろん誰かがあの者たちの犠牲になることを、私は快くは思っておらんよ。
ただ、ムジナたちも私の愛する一部じゃ。
そのことを知っておいて欲しいと思ってな」
創造主は言い終わるとかすかに微笑み、
ゆっくり池を回って去りました。
青い風はそこに立ち尽くしたままでおりました。
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天上界での、美しい午後のことでした。
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