「私が近づくと・・・」
大きな黒い影の存在が言った。
「皆、恐れ、おののき、ふるえる」
「そして人生を恨み、悲しみ、悲嘆に沈む」
「私が近づくと・・・」
大きな光の存在が言った。
「皆、大喜びだ。嬉しがり、はしゃぎだし、我を忘れる」
「そして謙虚さを失い、やみくもに躍りだす」
***
「私が握っている光を知ろうとするものは少ない」
影の存在は言った。
「私が影を握っていることに気づいている者は少ない」
光の存在は言った。
***
「私の握っている光を使いさえすれば・・・」
影の存在は言った。
「今まで知りえなかったチャンスの扉を開けるのに」
「私の握っている影に気づきさえすれば・・・」
光の存在は言った。
「思いもよらない幸運が降って来た時、
そこにはなんらかの意図が隠されていることに気づくだろうに。
そしてその意図は、短絡的な幸運ではないかもしれないのに」
***
「真実の私たちは・・・」
影と光の両者が言った。
「表に見えている姿とは違うのだ。
どうかそれに気づき、真の意味において幸、あらんことを!」