この物語は1・2・3がございます。
1 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11711678210.html
2 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11714893431.html
3 http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11715483391.html
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夕暮れが迫り、氷の寒さも迫って来ました。
ツルの祭典はあと一羽の踊りを残すのみとなっています。
西の風と南の雲に連れられきたあのツルが、そっと舞台にのりました。
このツルは大きくてりっぱ、というほどではありません。
大舞台で緊張し、自分の未経験さに震えてる、やせっぽちなツルでした。
太陽は沈もうとしています。
残された時間はわずかでした。
谷を渡る風が踊りを始めるよう促しました。
とうとう彼女は翼を開きました。
体はひらりと浮き上がり、谷に沈んだ冷気と共に回転します。
***それは不思議な踊りでした。***
彼女が何について踊っているのか、なかなか皆に伝わりません。
太陽は西の峰に落ちて行きます。
彼女は冷気を吸いました。
深紫の空を吸いました。
そして・・・舞台にいるのを忘れました。
***西の風がはるか上空で笑っています***
彼女の心は拡がり、全世界を包みました。
ほっそりした足はほとんど地面を踏まず、
風は彼女を支え、最後の緋色がさみしげに氷の舞台に映ります。
観客のツルたちは息をのんで見守りました。
その踊りは「友情」でもなく、「愛情」とも違い、
「うれしさ」や「悲しみ」「嘆き」「怒り」とも違いました。
***南の雲が微笑んでいます***
舞っているツルはもうどこも見ていません。
ただ・・・・・星のかなたのことだけを知っていました。
太陽はほとんど姿を隠しました。
濃紺が東の空からやって来ます。
もう光をまき散らすことはできません。
踊り子のツルは影となり、息を吐き、繊細な翼は何かを訴えました。
・・・その時でした。
ツルたちは一斉に彼女の舞いを理解しました。
≪そうか・・・・・・・・・! これは、”切なさ”だ≫
そのダンスはまるで涙でした。
悲しみに包まれた愛でした。
そして忘れ去られた自分への慈しみでした。
ツルたちは心を揺さぶられ、
自分自身の中にある、遠のいていた大切な物語を思い出しました。
すべてのツルが涙をこぼさず泣きました。
やがて太陽は峰に消え、
踊り子のツルは最後の羽ばたきを終え、氷の上に倒れました。
けれど激しい鼓動は、やせた胸の中でしっかりと生きています。
彼女は限界を踊りました。
闇が完全に谷を覆っています。
聖なるツルの祭典は、終わったのです。
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・・・・・・・・どうやら最終話は次回でした。
( ̄ー ̄;
長いな~。
もはや長編じゃん。。。
それでもっておもしろいのか不明。。。。
(・_・;) (・_・;) (・_・;) ?
でも・・・ウタマロ的には正直な自分の感性を出しております。
(*゚ー゚*)