izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

魔法を売る町9





「これが本当に呪文なのかは知らないわ。
・・・でもなぜかしら。
 今、はっきりと思い出したの・・・」




*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*◆*



この物語は魔法使いと少女の物語です。

1~12章(各章20秒で読了可能)
はじまりはこちら→魔法を売る町1
(*゚ー゚*)




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店内は【秘密を明かしたくなる魔法】で満ちていました。



彼女は魔法使いの動揺には気がつかず、
うれしそうに続けます。





「これが本当に呪文なのかは知らないわ。
それに随分忘れていたし・・・。でもなぜかしら。
今、はっきりと思い出したの・・・」





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娘は目を閉じ、唱え始めたのでした。。。。


『汝、我を我と思う者・・・・・・』


娘が冒頭を語り出した時、
魔法使いは凍りついたように動けなくなりました。



それは彼の家系に代々伝わる、
最大の極秘呪文・・・『真実の自分になる魔法』
出だしが同じだったからなのです。



 



魔法使いは自分を落ち着かせようと思いました。
”まさかな・・・・この娘が知っているわけがない・・・”
そして自らの中でつぶやきました。
”汝、我を我と思う者・・・・・”



すると・・・娘も目を閉じたまま、冒頭から繰り返します。


『汝、我を我と思う者・・・・・・
 我を呼び・・・』





魔法使いは驚きで、身動きがとれなくなりました。
娘が『真実の自分になる魔法』を唱えてしまうと察したからです。




=突然、時空が間延びしました。
  世界の時間がごくゆっくり・・・と流れます=





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魔法使いは彼女の言葉を封じることもません。

=店内は【秘密を明かしたくなる魔法】で満ちていました=



彼女は顔を上向き気味にし・・・・

頬を紅潮させ・・・

うっとりした微笑みをたたえ・・・

瞳は閉じたまま・・・

文言を続けていきます・・・。

『汝・・・我を我と思う者・・・
我を呼び・・・・・我を使う!』





次の瞬間、水晶珠が虹色の閃光を発しました!
それは目を射抜くようなすさまじいパワーを秘めています。





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あまりのまぶしさに魔法使いは目を覆い、
額縁に入っているご先祖たちも、大焦りでサングラスをかけました。


シャンデリアも驚きのあまり、すべての灯りが消えました。


++++++




そして・・・どれだけ時間がたったことでしょう。

=徐々に時空はいつものペースになりました=



++++++



ようやく魔法使いが指の間からのぞき見ますと、
娘の体全体が輝く虹色を発し、そこに立っていたのでした。
水晶は、彼女の光を増幅して放射していただけだったのです。




彼女自身はまぶしくないようでした。
興味深げに水晶珠に見入っています。




珠は光を発しつつも、
像そのものは、この娘が”ただの人間でしかない”ことを、

はっきりと現しておりました。




+◇+◇+◇+◇+◇+




そしてあの言葉はいったいなんだったのでしょう?

それは呪文も魔法もはるかに超えた、
【命の源の言葉】でありました。




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けれどあまりにも忘れられていたために、
それを欲する者さえいませんでした。



魔法族のごく一部だけが、
それを覚えていたのですが、
人々がそれを忘れていた方が、魔法使いたちは儲かりました。



ともかく、言葉に秘められていたのは、
全てに勝るパワーでした。

パワーが解き放たれたのです!!





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+◇+◇+◇+◇+




茫然と立ち尽くす魔法使いは、
肩の鋭い痛みで”ハッ”としました。


彼が肩のフクロウに目をやったのと、
フクロウが身を低くして羽を開いたのは同時でした。





◆◆◆◆◆◆◆




その時フクロウの眼(まなこ)に光が宿り、遠くを鋭く見つめました。

失われていた高貴な魂が目覚めています。

フクロウは再び、天からの詩(うた)を聞いたのでした。



◆◆◆◆◆◆◆



”飛ぶつもりか?!”
魔法使いは一瞬思い、すぐに冷たく否定しました。



”呪文で封じたあの頑丈な扉を通れるわけがない・・・”



それでもフクロウは飛び立ちました。
そして黒塗りの重厚な玄関扉に向かったのです・・・・




=再び、時空が間延びしました。
  世界の時間がごくゆっくり・・・と流れます=




◆◆◆◆◆◆◆




扉めがけて飛ぶフクロウは・・・・・・

風の詩を思い出し・・・・

 

草の匂いを全身で吸い・・・

遠い森と、山を見つめて・・・

雨粒の歓びを羽で受けとめ・・・

 *


自由と祝福に満たされ・・・

飛翔したまま・・・

脆弱化(ぜいじゃくか)した、扉の粒子を・・・

通過・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・


・・・しました!




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◆◆◆◆◆◆◆





=ここで、時空はいつものペースになりました=



「?!」

魔法使いはフリーズしたまま黒塗りの扉を見つめます。

激しい憤りと喪失感が、彼を真っ二つに貫きました!
彼にとって「失う」という経験は、生涯初めてのことでした!!



 



一方娘は手を叩き、飛び跳ねて喜んでいるのです。


魔法使いは怒りで形相を変えました。
細い目はつり上がり、
顔色はますます あさ黒くなりました。


杖を握った手は怒りでワナワナ震えています。



そして娘に詰め寄ると、杖を鋭く向けました。
なぜその呪文を知っている!!」


娘は魔法使いの勢いに驚きつつも、必死で言葉を探します。



「お・・・お店のいい香りを嗅いでいたら、
幼い頃 ”これは呪文だよ” って教えられた言葉を思い出したの・・・」



魔法使いは納得できず、娘の首筋に杖を冷たくあてがいました。
それはナイフのような感触でした。








娘は動揺したものの、魔法使いが怒っている理由がわかりません。


”もしかしたら私の言葉が足りないの?
そう言えば・・・
『何かひっかかっていることはありませんか?』
って訊かれたんだわ”・・・と思いました。




そこで彼女は再び繰り返してみたのです。


『汝、我を我と思う者。
我を呼び・・・・・我を使う』


龍よ出でよ!





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#ピーコン・ピーコン・ピーコン・ピーコン・・・



魔法使いの内部警報がけたたましくなりました。
彼はおののき、娘から離れました。

あまりの恐怖に顔が醜くゆがんでいます。


ブッー!
ブッー!
ブッー!
ブッー!


「龍:警報発令!
 龍:警報発令!!」


!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 


魔法の町全体が警報音を発しました!!







*・×・*・×・*・×・*・×・×・*・×


さあ、ラスト前にひと波乱ーーー!
( ̄∇ ̄+)

続きはこちら→魔法を売る町10