izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

【釣りする二人】後編





この物語は前半がございます。
(・ω・)/
⇒釣りする二人前編







◆+◆+◆+◆+◆+◆+◆






”ボコッ!!”


「イデッ!!」



“神、兼、創造主”は驚いて振り向きました。


するとそこには金属バットを握った小太りのハゲオヤジが、
顔を赤くして立っていたのでありました。
白い奇妙な服装でした。



・・・おかしなことに、
彼ら二人は瓜二つの姿です。




{5D710144-9871-4C69-8165-069C42B84D14:01}





「おい、お前!」
怒った彼が、
“神、兼、創造主”の胸ぐらをつかんで立たせました。



「よくも俺の人生をめちゃくちゃにしやがって!!」
彼はドスの効いた口調でマジギレでした。





「ちょ・・・ちょっと待ってよ」
“神、兼、創造主”は釣り竿を落とし、
つかまれた腕に抵抗しました。




「何が“待って”だ、このやろう!」
怒りの彼はますます力を強めます。




「こっちだって一生懸命だったんだぞ!」
“神、兼、創造主”も、もがきながら怒鳴ります。







「一生懸命でこのざまかよ。
俺はな、人生の中で“悔しい事、辛い事、悲しい事”
ばっかりだったぞ!」

怒りの彼の声には、悲痛な声色が混じりました。
 


「こっちだって悲しかったさ!」
“神、兼、創造主”は目じりに涙を浮かべました。



それでも二人はもつれ合って凄みます。




{85485A6C-7E38-49F1-8CC8-1EC3982C09DA:01}




怒りの彼は顔を相手に近づけ言いました。


「俺はな、もっと楽しい人生を送りたかった。
うれしい出来事経験したかった。
いろんな仲間が欲しかったんだ!」




だんだん泣き声になっています。
鼻水も垂れてきました。



「知ってたさ!俺だって、応援したかった、
支えたかった、導きたかったさ!!」
“神、兼、創造主”も抵抗します。



「じゃあ、なんだよ!なんでしてくれなかったんだ!?」
怒った彼は相手を揺さぶって言いました。



「やろうとしてたさ、でもいつだって拒否られたんだ!」
“神、兼、創造主”は顔を左右に振りました。



怒りの彼:
「いつだよ!俺は拒否ってなんかいないぞ!」


“神、兼、創造主”:
「お前、いつも俺の事、
“ちっ!どうせオレなんか”って、
言ってたじゃないか。


“どうせオレはいつものけ者さ”

“どうせオレは運がない”

“どうせオレにはできっこない”

“どうせオレはモテないし”

“どうせオレには才能ないし”

“どうせオレはハゲオヤジ”

“どうせオレはバカだし・・・。




{2ECF61C0-70C3-4E34-A459-C4D153C2060D:01}





俺がどれだけ深~~~く傷ついたか知ってんのかバカヤロー!
これでも拒否ってないって言えるのか!?



俺はな、いつだって助けたかったさ、
一瞬一瞬な!でもお前は何も受け付けない、
俺がどんなに辛かったかわかるかコノヤロー!」



怒りの彼:
「そんなことは知らねーぞ」



“神、兼、創造主”:
「知らないじゃすまないぞ!こっちは必死だったんだからな!!」



◆◆◆二人はつかみ合ったまま静止しました◆◆◆



どちらも鼻水を垂らし、涙を流しておりました。


「俺はな・・・」
怒りの彼が言いました。


「大切にされたかったんだ・・・めんどうみてもらいたかったんだ
・・・俺の人生をさ」


「俺はな・・・」
“神、兼、創造主”も言いました。
「大切にしてやりかったんだ・・・めんどうみてやりたかったんだ・・・
お前の人生をさ」




{FEADEA43-91AF-4A58-B6EE-35A9C9B02FCB:01}





「つまり俺は・・・」
怒りの彼が言いました。


「そうなんだ俺は・・・」
“神、兼、創造主”が言いました。



◆◆◆そして二人同時に言いました◆◆◆



「俺はな・・・
愛し合いたかったんだよ!!」



{D7037AC0-36F8-4611-B03F-C5DE943E1D8A:01}





二人は互いをきつくきつく抱きしめました。
二人はオンオン泣きました。








**◇◇◇◇◇**




しばらくして、二人はそろって池のふちに腰掛けました。
“神、兼、創造主”が釣り竿を手にしています。


{A24CEEF4-1137-4898-B9B7-19D5407145B8:01}






怒っていた彼が穏やかに言いました。
「なんだか今日はめでたいな」



「めでたい?・・・鯛、でも釣ろうか?」
“神、兼、創造主”が答えます。



「ここ・・・池だぜ」
穏やかになった彼が笑いました。



「見てろよ、俺を・・・なんと言っても、
“神、兼、創造主”なんだからな」
そう言って、
“神、兼、創造主”は彼に釣り竿を渡しました。




「じゃっ。本気で釣ってみようかな」
彼は竿を受け取って笑いました。



しばしの風が吹きました。



{DD921CD8-2B8E-40C5-8317-D2678CC90531:01}





◇◇◇◇◇



そして……次の瞬間の事でした。




「ほらなーーー!
釣れたぞーーー!」


“神、兼、創造主”が大喜びで叫びます。



針にかかってやって来たのは、大きな、大きな鯛でした。
驚いたことに、マグロほどもあったのでした。



しなる細い釣り竿を二人がかりで支えます。
二人に歓びがこぼれました。
 


{C3E7BD6F-5E5E-4B22-8FF9-5FD38E044A6F:01}






その姿は一人とも・・・二人とも見えました。
天気のいい、夏の昼下がりのことでした。



さわやかな風が吹きました。




           
{552063F8-18A5-46E9-9F3C-CFF6EABD6AD2:01}

                               *
                                    
                    +          


+×・*・×・*・×・*・×・*・×・×・*・×







Copyright © Utamaro Izumi 2014 All Rights Reserved.