”ボコッ!!”
「イデッ!!」
“神、兼、創造主”は驚いて振り向きました。
するとそこには金属バットを握った小太りのハゲオヤジが、
顔を赤くして立っていたのでありました。
白い奇妙な服装でした。
・・・おかしなことに、
彼ら二人は瓜二つの姿です。
「おい、お前!」
怒った彼が、
“神、兼、創造主”の胸ぐらをつかんで立たせました。
「よくも俺の人生をめちゃくちゃにしやがって!!」
彼はドスの効いた口調でマジギレでした。
「ちょ・・・ちょっと待ってよ」
“神、兼、創造主”は釣り竿を落とし、
つかまれた腕に抵抗しました。
「何が“待って”だ、このやろう!」
怒りの彼はますます力を強めます。
「こっちだって一生懸命だったんだぞ!」
“神、兼、創造主”も、もがきながら怒鳴ります。
「一生懸命でこのざまかよ。
俺はな、人生の中で“悔しい事、辛い事、悲しい事”
ばっかりだったぞ!」
怒りの彼の声には、悲痛な声色が混じりました。
「こっちだって悲しかったさ!」
“神、兼、創造主”は目じりに涙を浮かべました。
それでも二人はもつれ合って凄みます。
怒りの彼は顔を相手に近づけ言いました。
「俺はな、もっと楽しい人生を送りたかった。
うれしい出来事経験したかった。
いろんな仲間が欲しかったんだ!」
いろんな仲間が欲しかったんだ!」
だんだん泣き声になっています。
鼻水も垂れてきました。
「知ってたさ!俺だって、応援したかった、
支えたかった、導きたかったさ!!」
支えたかった、導きたかったさ!!」
“神、兼、創造主”も抵抗します。
「じゃあ、なんだよ!なんでしてくれなかったんだ!?」
怒った彼は相手を揺さぶって言いました。
「やろうとしてたさ、でもいつだって拒否られたんだ!」
“神、兼、創造主”は顔を左右に振りました。
怒りの彼:
「いつだよ!俺は拒否ってなんかいないぞ!」
“神、兼、創造主”:
「お前、いつも俺の事、
“ちっ!どうせオレなんか”って、
言ってたじゃないか。
“どうせオレはいつものけ者さ”
“どうせオレは運がない”
“どうせオレにはできっこない”
“どうせオレはモテないし”
“どうせオレには才能ないし”
“どうせオレはハゲオヤジ”
“どうせオレはバカだし・・・。
俺がどれだけ深~~~く傷ついたか知ってんのかバカヤロー!
これでも拒否ってないって言えるのか!?
俺はな、いつだって助けたかったさ、
一瞬一瞬な!でもお前は何も受け付けない、
俺がどんなに辛かったかわかるかコノヤロー!」
怒りの彼:
「そんなことは知らねーぞ」
“神、兼、創造主”:
「知らないじゃすまないぞ!こっちは必死だったんだからな!!」
◆◆◆二人はつかみ合ったまま静止しました◆◆◆
どちらも鼻水を垂らし、涙を流しておりました。
「俺はな・・・」
怒りの彼が言いました。
怒りの彼が言いました。
「大切にされたかったんだ・・・めんどうみてもらいたかったんだ
・・・俺の人生をさ」
・・・俺の人生をさ」
「俺はな・・・」
“神、兼、創造主”も言いました。
「大切にしてやりかったんだ・・・めんどうみてやりたかったんだ・・・
お前の人生をさ」
“神、兼、創造主”も言いました。
「大切にしてやりかったんだ・・・めんどうみてやりたかったんだ・・・
お前の人生をさ」
「つまり俺は・・・」
怒りの彼が言いました。
怒りの彼が言いました。
「そうなんだ俺は・・・」
“神、兼、創造主”が言いました。
“神、兼、創造主”が言いました。
◆◆◆そして二人同時に言いました◆◆◆
「俺はな・・・
愛し合いたかったんだよ!!」
二人は互いをきつくきつく抱きしめました。
二人はオンオン泣きました。
**◇◇◇◇◇**
しばらくして、二人はそろって池のふちに腰掛けました。
“神、兼、創造主”が釣り竿を手にしています。
怒っていた彼が穏やかに言いました。
「なんだか今日はめでたいな」
「めでたい?・・・鯛、でも釣ろうか?」
“神、兼、創造主”が答えます。
「ここ・・・池だぜ」
穏やかになった彼が笑いました。
「見てろよ、俺を・・・なんと言っても、
“神、兼、創造主”なんだからな」
そう言って、
“神、兼、創造主”は彼に釣り竿を渡しました。
“神、兼、創造主”なんだからな」
そう言って、
“神、兼、創造主”は彼に釣り竿を渡しました。
「じゃっ。本気で釣ってみようかな」
彼は竿を受け取って笑いました。
しばしの風が吹きました。
◇◇◇◇◇
そして……次の瞬間の事でした。
「ほらなーーー!
釣れたぞーーー!」
“神、兼、創造主”が大喜びで叫びます。
針にかかってやって来たのは、大きな、大きな鯛でした。
驚いたことに、マグロほどもあったのでした。
しなる細い釣り竿を二人がかりで支えます。
二人に歓びがこぼれました。
その姿は一人とも・・・二人とも見えました。
天気のいい、夏の昼下がりのことでした。
さわやかな風が吹きました。
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完
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