その種はある望みを持っていた。
それを携え地上に生まれた。
*
生まれた男は傍若無人な生涯だった。
多くの人を傷つけた。
種の望みは果たされなかった。
**
次に生まれた人生は、気弱な女性の人生だった。
前回と、真逆なタイプの生涯だった。
彼女は自分を卑下し続けた。
種の望みは果たされなかった。
***
次また生まれた人生は、再び女性の姿であった。
今度の彼女は、人に尽くして尽くす人生。
それゆえ、自分がおろそかに。
種の望みは果たされなかった。
****
またもや生まれ出でた選択は、
小さな体に大きな障害。
生まれた時から動けなかった。
それでもだ。その不自由な体の中で、
小さな笑顔を振りまいた。
周囲は驚き、微笑んだ。
そして、言葉を理解しだすと、
短い声を出したのだ。
声は詩であり、歌だった。
心に刺さる、詩歌だった。
彼は短い人生で、ありとあらゆる光の歌を、
地上にふりまき育てて行った。
最後にフッと、体を手放し、元いた世界へ戻って行った。
種の望みは、果たされた。
種の願いは、叶ったわけだ。
*************
あたたの種の願いは・・・
なんですか?
(*^ー^)ノ