izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

物語:彫刻家と人魚

あるところに彫刻家の男がおりました。
彼は街の伝説に登場する人魚の製作を依頼され、
その仕事にかかりきりでした。

彼が彫刻と向き合っていると、
人魚はまるで生きているようです。
人魚は彼に歌を歌い、その歌で仕事がすすみました。

その姿は可憐な美しさと悲しさを放つ像でした。

photo:06



いよいよ完成まじかになった時、
彼の親戚がやって来ました。
親戚は言います。

「なかなかすばらしい人魚の像だ。
だけど、もう少し痩せてた方がいいがいいんじゃないかね」
男はそうかもしれないと思い、
体のボリュームをおとしました。

photo:09



次に近所の老婆が来ました。
そしてこう忠告しました。
「ウロコがはっきりしすぎだね。
あまり目立たないほうがいいと思うよ。
それから顔つきはもっと普通がいいね」
男は忠告に従いました。

そのようにして、様々な人が
彼の人魚に口出ししました。

photo:08



**********

そしてとうとう夏至の夜、
人魚は海辺の公園でお披露目となりました。

でも、そこに完成していた像は、
輝きどころかなんのへんてつもない、
まるで愚鈍な品物でした。


photo:07



人々はがっかりし、口々に彼を非難しました。
彼は皆の忠告を参考にしたのだ、と反論しましたが、
誰もこの芸術家を認めません。

海べりに立つ人魚像は忘れ去られ、
以降、誰も見向きもしませんでした。


夏の夜風と波音だけが、
人魚を通り過ぎてゆくのでした。


photo:05



*********

作品が降りてきても、
物質界の常識に合わせると、
降りて来ていたエネルギーは消えてしまうということですね。
( ̄ー ̄;

ナンマイダブ…ナンマイダブ…。
(; ̄ェ ̄)