泉ウタマロワールドをお届けします。
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物語【13番目の少女】
挿画もウタマロです。
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「所長!地球人の大半と意思疎通が取れません!」
宇宙望遠システム員が言った。
=ここは多次元クルー・ステーション=
「なんだと?あそこには派遣員を13名送ったはずだが。
もう一度連絡してみろ」所長が言った。
「はい・・・・・」
ツツー!ツツー!
「あ・・・取れました!」
「おお!そうか!」
「いえ・・・取れません!」
「どっちだっ!!」
「取れましたが・・・・12名だけです」
「あとの1人はどうした?」
「ええっっと・・・消息不明です!」
「消息不明?・・・しかたない。
地球に向けて旋回せよ。
直接会って、事態を明らかにするのだ」
◇◆◇船は地球へとワープした◆◇◆
*
「所長!派遣員が戻りました。
でも・・・やはり1名足りません」
「いったい何があったんだ。
彼女たちをここへ呼べ」
=地球服バージョン:「少女風」を着込んだ
12名の派遣員が所長の前に居並んだ
揃いの濃紺ワンピース=
「ごくろう」所長が言った。
「ところでなぜ12名なのかね?」
「私たち何も知らない」
1番目の少女が答えた。
「いつの間にか12名になってたの」
2番目の少女が言った。
「いつからかね?」
所長が尋ねた。
「わからない。いつの間にか」
3番目の少女が言った。
「13名いなくては意味がないのだ」
「わかってる」
4番目の少女が答えた。
「いわばお前たちは13人で構成された電波塔だ。
その異次元通信で地上人と我ら多次元クルーは結ばれている。
1人欠けたら支障が起きる」
「どこだろう?13番目の少女」
5番目の少女が言った。
「どこかに必ずいるはずだ」
所長が言った。
「私、知らない」
6番目の少女が言った。
「私、知らない」7番目が言った。
「知らない・・・」8番が言った。
「知らない・・・」9番目が言った。
「知らない・・・」10番目が言った。
「知らない・・・」11番目が言った。
「知らない・・・」12番目が言った。
・・・・・・・その時だった。
「私・・・・ここにいる!!」
小さな声が叫んだ。
*
「どこだ!」所長が宙を見つめ叫んだ。
だが姿はなかった。
「13番目の私、ここにいる!
みんなのポケットの中!!」
声だけが叫んだ。
「ポケットの中?」皆が言った。
少女たちがポケットを探ると・・・。
女の子の姿をした人形があった。
濃紺のワンピースを着た可愛い人形。
12人の少女のポケットから12の人形が出てきた。
「なるほど!」
所長が言った。
そして彼は唸るように叫んだ。
「悪しき呪いよ去れ!!
存在よ、その尊厳を取り戻せ!!」
*
次の瞬間、12体の人形は消え、
1人の少女が立っていた。
濃紺のワンピースを着た、13番目の少女だった。
彼女は大きく目を見開いた。
*
「お前、何があったのかね?」所長が尋ねた。
「私たちは13人で地上を旅していた。
ある時・・・。
とある王様に招かれた」
「私たち別々の寝室をあてがわれた。
真夜中になった時、
私の部屋に黒い布を被った者がやって来た」
「何をされたのだ?」所長が言った。
「布に開いた小さな穴の奥に、目だけが見えた。
陰惨な目だった。
彼は私に向けて長い杖を振るった。
次の瞬間、私は12の小さな人形になっていた」
「それから?」
「他の少女が寝ている間に、
私は皆のポケットに入れられた。
そして翌朝、12人は城から旅立った。
何事もなかったように、誰も気づかず・・・」
*
「なるほど。
それ以降、地上人と多次元クルーとの意思疎通に
支障が起きていたのだな」
所長はうなづいた。
「地上人は我らと異次元通信ができない間、
いったいどうしていたのだろうか?
そもそも我々は地上人のクリエイティビティをサポートしていたのだが」
「地上の人々は地上の王様の定めに従った」
少女が言った。
「王様に従った?
自らの魂に従わずに?」
「地上人の多くは自らが魂存在であることを忘れた。
そして肉体のみの存在であると認識した」
「それはおかしい!
自分自身を服だけだと思うのと、
同じではないか!」
少女たちは黙っていた。
所長は悲しげな口調で言った。
「嘆かわしい・・・。
永遠のクリエイターであることを失うとは・・・。
それはさぞかし不自由な時空であっただろう」
*
所長が続けた。
「だが、呪いは解かれた。
再びお前たちは13人で構成された異次元電波塔として、
地上で機能してくれたまえ!」
「了解しました!所長!」
彼女たちが答えた。
*
少女たちは地球へと再び降りた。
船はそれを見届け、はるか宙へとワープした。
地上は再び13人の少女を迎え、
多次元通信システムは復旧した。
喜ばしい瞬間だった。
宇宙全野が、地球に向かって煌めいた。
+
+
完
copyright © izumi utamaro 2017 6.16
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摩訶不思議な物語、いかがだったでしょうか?
この少女たちは、
銀河リズムの13ヶ月を示しています。
13ヶ月は魂存在として生き、
異次元通信を使用可能にする暦です。
28日x13+「時間を外した1日」のスタイル。
12ヶ月は地上の王様が作った王様に従う暦。
28日+αの日数 バラバラスタイル。
*
いったい何がどう違い、
地上人にどのように影響するのかを
物語で表現したいと想っていました。
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単純に日数が違っているだけでなく、
その奥に秘められている意味と意図を
感じて頂きたい。
今日もお読みくださりありがとうございました。
(▰˘◡˘▰)
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