izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

宇宙銀行物語: 「お願いです。 あなたの預金を使って下さい!」

 

 

 

 

皆様こんにちわ~。

(*゚ー゚*)

先日

【宇宙銀行物語「僕の預金額教えて下さい」】を

投稿しました。

 

 

 

 

実はその物語には

相反するペアストーリーがございまして、

それを今日はお届けしたいと思います。

(▰˘◡˘▰)

 

 

 

 

 

 

 

 

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☆.。.†:*・゜☆.。†.:*・゜

 

 

 

 

 

 

 

宇宙銀行物語:

 

「お願いです。

あなたの預金を使って下さい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

雪が降り始めた冬の午後のことだった。

彼女はコタツに入り、ぼんやりと外を眺めていた。

 

 

 

 

テレビがついていたが、

それは忘れられていた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「コンコン・・・」

誰かが玄関をノックした。

 

 

 

 

 

彼女はハッとし、

玄関の覗き穴から見ると、

 

寒そうな姿の若い男性が一人いた。

 

 

 

 

彼女は少し迷ったがドアを開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「井口春奈様ですね?

私は宇宙銀行:行員の営業マンです」

 

 

 

 

 

この寒いのにコートも着ていない。

男性はブルブル震えながらも一礼した。

 

 

 

 

 

彼女は戸惑った。

銀行の営業マンなど、自身に無関係な存在だから。

 

 

 

 

 

 

すると彼は続けて言った。

 

 

 

 

 

「唐突ですが、春奈様には多額の預金がございます。

当行はお支払いするチャンスをうかがって来ましたが、

なかなか好機に恵まれず、

今日は直接お知らせに参りました」

 

 

 

 

 

「な・・・なんのことですか?」

 

彼女は少し身を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春奈は数年前からヘルパーの常勤職員として働いていた。

介護保険を利用する家庭に訪問し、

様々なニーズに対応するハードな仕事だった。

 

一日に何件もこなしたが、

毎月の収入は手取りで13万ほどだった。

 

 

 

 

 

古ぼけたワンルームの一人暮らし。

家賃は高くない。

だが生活はキツキツだった。

多額の預金などあるわけがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると行員は、

彼女の思考を読んだかのように言った。

 

 

 

 

 

「春奈様は地上銀行、

つまり”地銀”のことをお考えだと思います。

けれど当行は”宇宙銀行”:宙銀です」

 

 

 

 

 

「ちゅうぎん?」

 

 

 

 

 

 

「春奈様の預金残高は、

現在・・・

 

 

 

一兆八千六百万円

 

・・・でございます」

 

 

 

 

 

「い・・・いっちょう・・・・・?」

 

 

”これはなんの冗談?それとも勧誘?”

春奈は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

雪はますます激しくなった。

彼はガタガタ震えながら言った。

足をモジモジと動かしている。

 

厚着の春奈は、彼ほど寒くはなかった。

 

 

 

 

 

 

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「当行をご存知ないと思いますが、

宇宙銀行は、善意ある心遣いや、

思いやりなど、損得なしにとった行動。

そしてご自分の才能を活かして世界に貢献されたことなどが、

映し出されて預金されます。

その秩序は果てしなく精密です」

 

 

 

 

 

 

「”才能を活かして世界に貢献?”

私、関係ないと思うけど・・・」

彼女は内心思った。

 

実のところ、今の仕事は彼女の適職とは言えなかった。

 

 

 

 

 

 

業務は効率を求められた。

けれど利用者の心情が繊細に読める彼女にとって、

時間通りテキパキ作業を終えることは困難だった。

 

 

 

 

 

上司からは、

 

「要領よく仕事しなさい。

時間単位で決められた枠なのだから」

 

・・・と、常に言われた。

 

 

 

 

 

 

でもなかなか彼女にはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると行員がその思考に割って入った。

 

 

「確かに春奈様のお仕事は、

ご自身の資質を最高に活かせているとは言えないかもしれません。

 

けれど、日々の介護で給与以上に人に尽くしておられることは、

地上銀行には反映されずとも、

当行には着々と預金されております」

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃなぜ・・・」

春奈は言いかけて言葉を止めた。

 

 

 

 

 

そして心の中で言った。

「なぜ…私の生活はこんなに苦しいの?」

 

 

 

 

 

 

「春奈様よく聞いて下さい。

これからお話することをお届けするために、

私は遥か彼方から”船”で参りました」

 

 

 

 

 

 

「船?」

 

 

 

 

 

 

「でもまさか地上服着用が

こんなに苦痛だとは知りませんでしたが・・・」

彼は苦笑いしながら言った。

 

 

 

 

 

「地上服って何?」

彼女には理解できなかったが、

行員は続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここからは大事なお話なので、

お名前ではなく”あなた”と呼ぶことをお許しください」

 

 

 

春奈がうなずくと、

彼はグッと息をのんで話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうかあなたが自分自身を大切に思えること。

自分自身を誇り高く思えることを望んでください。

 

 

 

そうでないと宇宙銀行は

あなたにサポート循環することができません」

 

 

 

 

 

「長い間やりたいと思っていながら、

諦めていることはありませんか?」

 

 

 

 

 

そう言われると、

春奈は華道に憧れていたのを思い出した。

 

 

 

 

 

彼はすかさず言った。

 

「あなたは生け花を習ってみたいと思いながら、

自分の給料ではとうてい叶わないと、

その願いを口に出さずに閉じ込めました」

 

 

 

 

 

 

「でも、もしそれを言葉に出して、

稽古代の予算はないけれど、

どうにかしてやってみようとした時、

宙銀はあなたを支援できます」

 

 

 

 

 

 

 

「たとえばあなたの訪問先の上田さん。

彼女は外出がままらない体調ですが、

その昔、華道の師範でした」

 

 

 

 

「上田さんは自分の人生があと数年だと予感していて、

 

”お代などいいから、誰かに最後のお花を教えたい”

 

・・・とずっと心の中で想っています」

 

 

 

 

「その願いを私たちはつなぐことができるのです。

宇宙銀行は現金を介さないやり方で、

個別にミラクルスタンバイできるのです!

 

 

 

 

 

 

 

 

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ここまで言われると、

この行員が本当に自分のことを知っているのだと

認めざるを得なかった。

 

春奈は無言で彼の言葉に聞き入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたはいつも支出を気にしています。

 

やりたいこと、ふと”いいな”と思ったこと、

ちょっとしたオシャレも、

いつもいつも我慢しました」

 

 

 

 

 

 

 

「かわいいレースのワンピースを着てみたいと思っていても、

安い店のバーゲンで無骨なものを選んでいます」

 

 

 

 

 

 

 

「それではいったい私たち宙銀は、

どこであなたにお支払いすれば

  いいのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

「あなたはいつも下を向き、

たくさんの望みに気づかないようにして、

毎日を黙々と過ごしています」

 

 

 

 

 

 

=彼女の胸にこみあげる何かがあった=

 

 

 

 

 

 

「あなたの宇宙銀行口座には、

多額の預金があるのです」

 

 

 

 

 

 

 

どうか今生でそれを活かして下さい。

あなたは前世でも預金する一方で

使うことをしませんでした」

 

 

 

 

 

 

 

「私は行員ですから、

あなたが今生において、

なんの目的で地上に来たのか、

そこまでは進言できません」

 

 

 

 

 

 

 

「けれど少なくとも今のままでは

ご自身の魂の表現と完全性を、

この地上で発揮できないと思いませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

春奈は寒さも忘れて聞き入った。

雪は絶え間なく降り続いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「宇宙はあなたを愛しています。

 

どうかその熱いエネルギー支援を受け取って、

ご自身がこの地上に携えて来た、

才能や資質を開花させてください。

 

 

地上銀行にある口座だけが、

あなたの預金ではないということを忘れないで欲しいのです

 

 

 

 

 

 

「あなたには両親の口癖だった、

”貧乏人が高望みしてはいけない”

”身の程知らずのことをしてはいけない”

 

その言葉が染み付いています」

 

 

 

 

 

 

 

「けれども宇宙銀行は、

あなたが本当に望んでいること、

 

歓びに満ちて

心とパッションが開いている方向にしか

支援することができません

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、逆を言えば、

 

あなたが望まないことばかりを続けている間は、

お支払いすることができません。

 

当然と言えば当然ですが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「宙銀は、

あなたがあなたを真っ直ぐに愛した時、

最大の効力を発揮します」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

春奈はもやは彼の姿が見えなくなった。

なぜなら涙が溢れそうになったから・・・。

 


 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての涙がしたたった後、

そこに彼の姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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そして立ち去ったと思える通路には、

雪がしずしずと積もっていた。

足跡は一つも残っていない・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか。宇宙船で来てくれたんだ。

ありがとう・・・・」

 

 

 

 

春奈は小さくつぶやいて微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪の日の夕暮れは早かった。

奇蹟の雪の日が暮れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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Copyright © utamaro Izumi 2017,All Rights Reserved.

 

 

 

 

 

☆.。.†:*・゜☆.。†.:*・゜

 

 

 

 

 

 

宇宙循環と宙銀。

深く感じて下さったら嬉しいです。

皆様は預金の有効利用はできていますか?

( ̄∇ ̄+)?

 

現金以外のミラクルスタンバイにも、

敏感になってくださいね〜。

 

 

 

 

 

 

この作品は1年前発表した際、

ある有名な方から、文章のみ抜き取りシェア拡散がありました。

 

そのため既読の方もいらっしゃるかもしれませんが、

作者は泉ウタマロで、元からこの挿画がついている作品でした。

 

 

 

 

 

 

○●○●○●○●○●

 

 

 

 

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泉ウタマロは作家・アーチストです。

 

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