真夏の満月の晩、森の奥でユリが咲こうとしています。
お月様はユリを見つけて言いました。
「おや、こんなところに美しい姫がいることよ」
それを聞いてユリは答えました。
「姫ですって?私はこれまでずいぶんひどい目にあってきました。
芽吹きの頃、遅霜に苦しめられたのですよ」
すると月が答えます。
「そうかね?
その霜のおかげで良い立ち姿に伸びたのじゃないのかね?」
しかしユリは納得しません。
「その上、私が花芽を出そうとしているのに、カンカン照りがやってきて
随分雨を待たされました」
すると月が答えます。
「そうかね?
その日照りのおかげで、つぼみがじっくり大きく育ったのではないのかね?」
ユリはまだまだ納得しません。
「そして私がとうとう咲こうとした前の晩、大嵐と雷がやって来て、
私はすっかりおびえました」
すると月が答えます。
「そうかね?
その恐怖のおかげで花は真っ白になったのではないのかね?」
しばらくすると、月は森のすぐ上まで降りてきました。
そしてその銀色の鏡に、ユリの姿を映しました。
そこにはすらりとした立ち姿に、
お月様の銀色にも負けないほど輝いた純白の花が、大きく咲いていたのです。
ユリは驚いて言いました。
「これが私?それじゃあ、あの遅霜も、日照りも、嵐と雷も、
私を美しくするためにやって来たというのかしら?」
満月は黙ったまましばらくそこにとどまりました。
夏の夜風が優しく森を吹き抜けます。
ユリは感謝の気持ちをこめて高い香りをふりまきました。
満月の夏の一夜のお話しでした。
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人生には災難のように見えて、
後々それは自分のためだったと思える出来事もありますね。
あなたも美しく成長しませんか?
ご一緒に!
(^_^)☆