一匹のハエが、そそり立つ壁にとまり、
立ち往生しています。
彼はサバンナの遠くまで行く、
綿密な飛行プランを立てていました。
けれどもこの頑丈で巨大な壁のせいで、
3日前から進むことができずにいました。
「いったいなんだっていうんだ」
ハエはイラついて言いました。
ザラザラの砂っぽい壁は、
ハエがどんなに体当たりしても、
上下、左右を動いても、
どうしても前に進めません。
「ちくしょう!今日はシマウマのフンまで飛んでいる計画だったのに!」
彼がいくら努力してもなんの成果も出ませんでした。
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翌日のよく晴れた昼間。
遠くからアブが一匹飛んできました。
「お前何やってるんだ?」
アブが訊きました。
するとハエは不機嫌に答えます。
「何やってるって、見りゃわかるだろ、
壁が立ちはだかっていて、一歩も先に進めねぇんだ」
するとアブは大笑い。
「100歩下がってよく見るんだな。
世界が見えれば、自分も見えるさ」
そう言ってアブは天高く消えました。
ハエは少々ムカつきました。
それでも100歩後ろ向きに飛んでみました。
するとなんということでしょう。
彼が悪戦苦闘していたのは、
大きなゾウの体でした。
ハエはため息まじりに言いました。
「俺の努力はなんだったのだ。
ずっと下がって俯瞰すりゃ、
道はとっくに開けたものを」
彼は高く、高く上に飛びました。
サバンナの暑い午後でした。
乾いた風が吹き抜けました。
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問題に直面した時、
結構「ハエ」になっちゃうのよね。
(´_`。)
ははは・・・。