izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

モグラの王様:続編2




モグラの王様はまだなんとか生きていました。

下記がこの物語の(1)です。

(http://ameblo.jp/izumiutamaro/entry-11466991502.html)









***






モグラの王様はなんとか生きておりました。
太陽を、そよ風を、雨を、
霧を、春を、鳥の声をののしりながら。







ドロドロの暗闇のトンネルの中、
孤独のままなのでした。

それでも いもしない誰かに命令し、
怒鳴り、すがり、嫉妬していました。










photo:08






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ようやく夏が訪れました。



神様は憐れんで彼に季節をあげたのです。



モグラの王様のトンネルの出口付近に、
白い朝顔がつるを伸ばしておりました。
穢れのない真っ白な花が毎朝一つ咲きました。






王様は朝になると、
その花をトンネルの奥からチラリと眺めました。




花は何も言わず、ただ空にリンと背伸びし、
朝風を吸い、光る露をパラパラふりはらいました。




王様はそれを見ているとなんだか奇妙な気分になりました。
へんに胸がつまるのです。





けれどもそんな思いはすぐに消して、
地中深くに戻りました。

そして・・・自分に、世界に、宇宙に、神に、
呪いの言葉を吐きました。








photo:07






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朝顔モグラの王様を知っていました。


そしていたたまれなくなり神様に言いました。
「ああ、どうか神様。
あの哀れな王様をお救いください」





すると神様が答えます。
「哀れな・・・とはどういうことかね?」



「それは・・・」
朝顔は小さな声で言いました。

「あまりにも孤独で、あまりにもさみしく、あまりにも・・・・」
そこで朝顔は言葉につまりました。。





すると神様は朝顔に代わって言いました。
「あまりにも・・・愚かだと言いたいのじゃろう」





朝顔は黙ってうつむきました。



神様は微笑んでいるようです。
優しい声で続けます。


「このすがすがしい夏の空をご覧。
登ったばかりの太陽、
青を突っ切る鳥のつばさ、
ひまわりの声の調整。


薄紫は西に去り、そなたは今日も清い心でそこにおる。
すべてのものが完璧で美しく、
完璧に不完全であり、完璧に個である。





慈悲深い白い朝顔よ。
あの者も、私の一部じゃ。
あの者も、完璧に不完全な私の一部じゃ。
それがわかるかね?」











photo:05




***





次の青い風が通った時、
朝顔はその言葉を理解しました。




彼女は一層背筋を伸ばし、
金色の光を見つめ、
そして・・・一滴だけ涙をこぼしました。
夏の夜明けの奇跡の瞬間のことでした。






photo:04












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