izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

クリエイターたちの詩(うた)

 

 

 

 


その歌うたいは、喉の病を患っておりました。
もう何カ月も歌をうたっておりません。


彼はさみしげな顔をして、

公園のベンチに腰かけておりました。





そこに一羽の小鳥が来ました。
鳥は彼の友達でした。
足に傷があるようで、鳥はヨチヨチ歩きます。




小鳥は彼の肩にとまって、彼の頬に触れました。
彼の瞳に、涙があふれてまいりました。

 

 

 

 

 

 

{DD1C8C4A-0DDB-4C3E-A1D3-25BE06411E46:01}

 

 

 

 

 
 

 







夕方になり、小鳥はどこかへ去りました。

 
 
 

彼が池を眺めていると、
知り合いのピアニストがやって来ました。
 
 
 


ピアニストの指はひどいしもやけで、
このところずっとピアノが弾けずにおりました。





歌うたいは、ポケットから小銭をとりだし、
缶コーヒーを買ってきました。
 
 
 
 

彼らはそれを飲みながら、しばらくベンチにおりました。
どちらも話はしないのですが、
ピアニストの冷たい指は、ほんのりやわらかくなりました。





静かに時間が流れます。
 
 
 

まだ寒い春先でしたが、
ピアニストの心の中に、暖かな涙がこぼれました。

 

 

 

 

 

 

 

{C3EF213A-CC23-4D6F-8446-9937D9FB52F0:01}





 
 



星が出て、夜になると歌うたいは去りました。
 
 
 

ピアニストが一人座っておりますと、
そこに詩人がやって来ました。





詩人は心を病んでいました。
もうずっと詩をつくれずにおりました。





ピアニストは小さく鼻歌を歌いました。
彼は鼻歌に慣れていません。 
とぎれとぎれの曲でした。





それでも詩人の心の中に、一筋の涙が流れました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

{0DA9BF65-A6C3-43F7-9444-D338A532175C:01}

 

 

 

 

 
 


 



夜が更けて、星が交代してゆくと、
ピアニストは去りました。
 
 
 
 

詩人は一人、星を見上げておりました。
すると知り合いの画家がやってきました。





画家は自信をなくしておりました。
もう何か月も絵に向えずにいたのです。





詩人はどうすることもできずに、
画家の頬にキスしました。
画家の心の中に、何か光がさしました。

 

 

 

 

 

 

 

{FCC79ED2-93F8-4BF4-95DE-E9B173F4ADB0:01}











やがて詩人が去った後、
星も去り、夜が明けてまいりました。




画家はお日様の光を浴びて、
ベンチに座っておりました。




朝風がかすかにとおり、
木々がめざめてまいります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

{FFC13100-80B5-474E-9D8D-0789BA1748C6}








小鳥たちがやってきました。
その中に、足に傷のある、あの小鳥もおりました。





画家は小鳥をそっと見ました。
そして優しく言ったのです。





「愛しているよ。
私はもうじき描けるだろう。
そしたら一番最初のモデルに、
小さな君を必ず描くよ…」







{6E7F806C-4731-4D57-9888-C0CFEDFB4632}







゚・*  :.。..。.:*
    ・゚゚・*: 
          .。.
     .。.: 
         *・゚  ゚・*:
         .。.
            .。.:*・゚゚  ・
                   *:. 





 
 
 

☆.。.†:*・゜☆.。†.:*・゜





初めましての方へ、
泉ウタマロは作家・アーチストです。
よろしくお願い申し上げます。
 
 
image