私は難問と思われることでも考え続けます。
するとある日思いもよらない閃きが来て、
その難関が突破されます。
この作品はそれを物語スタイルで表わしています。
☆.。.†:*・゜☆.。†.:*・゜
【精霊と魔法の壺】
毎年春になると、村では夜祭が行われます。
そして祭りのクライマックスに精霊が現れました。
ある春のこと。
精霊はかがり火の向こうに大きな姿で出現し、言いました。
「この壺に水を入れないで満たし、
溢れさせることができた者は、
大きな力を得られるだろう」
精霊はにぶく光る大きな素焼きの壺を地面におくと、
次の瞬間消えました。
さあ、次の日から大変です。
村の者たち・・・年寄りから若者、男から、女。
すべての者がその壺をひっくり返し、手を突っ込み
色々調べておりました。
しかし、それはただの壺のようです。
水を入れずにどうして溢れさせることなど、できるのでしょうか。
皆が考え、思いついた方法を試しました。
そして、夏が来る前にほとんどの者があきらめました。
壺は広場の大きなモミの木の下に放置されたままでした。
しかし、それを見つめる若者がいました。
「精霊の言ったことなんか、
ただのでまかせ、からかいだ。
そんな注文できっこないさ」
そんな注文できっこないさ」
けれど若者はずっとずっと考え続けていたのです。
秋が来て、収穫が忙しい最中も畑で麦の穂を拾いながら・・・。
そして掘り出したカブを運びながら。
やがて雪に降りこめられると、納屋の中で脱穀をしながら。
そして、とうとう一年がたち、
春祭りの夜になりました。
やがて深夜が近づいた時、
かがり火の向こうに精霊が現れ言いました。
「おや、壺から水が溢れたようだ」
精霊はあの若者を見て言いました。
「いえ、私は何もしていません」
彼は驚いて答えました。
すると、精霊はわずかに微笑んで言いました。
「あなたが考え、考え、考えた・・・
その考えで壺は満たされました」
けれど完全に満ちた時、
ようやく最初の一滴がこぼれました。
あなたがたには、こぼれてくるまで見えなかったことでしょう。
辛抱強かった若者よ。
村人は呆然として若者を見ました。
若者も何も言えずに、
ただただ壺を見つめましたが、
この考え抜いた一年が、
自分に何かを与えたことは悟りました。
私たちの意識はエネルギーとなり、
未知を物質化し登場させます。
白い惑星の風の日にお届けしました。
(▰˘◡˘▰)
***
初めましての方へ、
泉ウタマロは作家、アーチストです。