izumiutamaro’s blog

泉ウタマロの新しいブログです。よろしくお願い申し上げます。

物語:小川のつぶやきと恵

そこは肥沃な土地でした。
畑も、丘も、雑木林も、いつも緑にあふれ村人は豊かに暮らしています。

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ところがいつの頃からでしょう。
畑の作物や牧草が、どういうわけか枯れました。
「これは悪霊の仕業に違いない」
村人は口々に言いましたが、誰もが恐ろしがって水源を見にゆく勇気はありせん。

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そんな時、原因を突き止めたいと強く願う娘がいました。

彼女は自分の果樹園と庭の花たち、
そしてなによりも大切な村全体を守りたい。
そう思ったからでした。

ある夏の朝早く、彼女が小川を遡って行くと、小川が何かをつぶやいています。
「どうせダメさ」「無駄だ」「後悔ばかりだ」「諦めた方がいい…」
ひっきりなしにそのつぶやきは流れています。

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彼女が森の奥の泉に着くと、そこには透けて輝く精霊が、ゆったり水面に座っていました。

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娘が村の現状を伝えると、精霊は穏やかに答えます。

「私は ただただ今まで通り、あなたがたの小さなつぶやきをこうして流しているだけです。
それが畑を潤すものか、それともすべてを枯らすのか、私は選別できません」

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娘は驚いて悟りました。
「私たちの無意識な思い…つぶやきが、こうして流れに相成って、土地に何かを与えているのね。
小川は思考、畑は心。心が恵を創り出す」


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彼女は急ぎ村へ戻ると、皆それぞれの考えに、注意するよう促しました。
否定的な考えに気づき、そのつぶやきをやめましょうと訴えたのです。

秋になりました。
村の果樹園には赤いリンゴが実りました。金色の小麦、フワフワで白い羊毛も仕上がりました。


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娘はいつも小川のつぶやきに耳を傾けます。その無意識に近いせせらぎが、
歓びに満ちたものであるよう、
おこたることなく、大切に見守っているのでした。

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あなたに流れるタイムラインは、
今 何をつぶやいていますでしょうか?
(^_^)☆